中国の酒と言うと、中国のカンフー映画によく出てくる「老酒」か、日本の中華料理店に数多く置かれている「紹興酒」が頭に浮かびます。

ただ、その老酒と紹興酒の違いがよく分からないというのが実態です。

実は、よく分からなくても当然で、老酒の一種が紹興酒です。

その紹興酒が他の老酒とは違って多くの店で扱われているのは、醸造される場所が影響しています。

老酒とは

老酒は中国で最もポピュラーなお酒です。

中国では「老」という漢字には「年上」や「年月を経た」という意味があり、老酒は時間をかけて熟成させたお酒のことを意味します。

老酒はもち米や粟などの穀類から作られるお酒をさらに熟成させています。

日本酒も同じような作られ方をしますが、アルコール度数は老酒の方が若干高めで、14?16度のものが一般的です。

紹興酒とは

紹興酒は日本の中華料理店で最も多く飲まれている老酒です。

実は、浙江省の紹興という街で作られる老酒のことだけを紹興酒と呼んでいます。

紹興酒の特徴は、老酒を仕込む際に様々な薬草が使われており、それに名水と呼ばれる鑒湖(かんこ)の清水だけが使用されていることです。

また、薬草が入っているため、漢方薬として利用されることもあります。

紹興酒の歴史

中国の酒は黄河文明の頃にはすでに存在していたとされており、当時の遺跡から醸造に使っていたと思われる青銅器が出土しています。

中国の酒の中でも、紹興酒は古くからその存在を知られたお酒です。

有名な『呂氏春秋』という歴史書には長江にお酒を投げ入れたという描写がありますが、そのお酒は紹興酒だと言われています。

昔から、紹興酒は老酒の王様的な存在でした。

紹興酒は老酒の一種

日本において、老酒と紹興酒が別のものと思われるようになった原因は、紹興酒が日本に入ってきた時に老酒としてではなく紹興酒という名前で輸入されたためです。

老酒には紹興酒の他に、福建老酒や上海老酒などの種類があります。

ちなみに、老酒は「黄酒」と呼ばれるお酒の一種で、黄酒を長年熟成させたものが老酒です。

つまり、黄酒の中に老酒があり、老酒の中に紹興酒があるということです。

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