感染症ないし伝染病の流行の度合いを表す言葉のひとつです。

エンデミック、エピデミック、パンデミック、の三段階があり、パンデミックはこの中でも最も大規模な流行状況を指します。

「全て」を表す「pan」と、「人々」を表す「dēmos」が合わさった、ギリシア語の「pandēmos」を語源に持ちます。

感染症などとは関わりなく何かが世界的に流行している状況を指すこともありますが、あくまで疾病の危機的状況の指標として用いられるのが一般的となっています。

主に感染症が、世界的なレベルで広範に流行することを意味します。

まず「感染症」とは、菌やウィルス等の微生物が生体に入り込んで繁殖し、発熱や咳などを引き起こすことを指しますが、これが感染力の高く、人から人にうつる類の感染症であった場合、たとえば一人から二人にうつる程度だとしても、二倍、四倍、八倍、と指数関数的に増大し、あっという間に爆発的な流行へと発展しうることになります。

こうして、国中や世界中のレベルで感染症が流行するに至ってしまった状況が「パンデミック」です。

ある感染症が「パンデミック」を引き起こす、流行状況が「パンデミック」に至る、のように用います。

要するに「大流行」などと置き換えて用いればよい、と考えれば分かりやすいと思います。

「パンデミック」という言葉を用いる時の主体あるいは主語は病気や病原菌そのものでもいいですし(すなわち、◯◯が「パンデミック」を起こす、という使い方)、流行の状況でもいいわけです(「パンデミック」が起こる、「パンデミック」に至る、という使い方)。

新型コロナウイルスの流行はついに、WHOによって「パンデミック」のレベルに達していると認定された。

この例文では、状況が主体(主語)で「パンデミック」に至った、という書き方になっています。

はっきりとした基準なしでも、明らかに世界的な流行だと見て取れればこの語を用いることはできますが、例文にあるWHO(世界保健機関)では、その都度具体的に警戒や対策を強めるための「パンデミックに至る6つのフェーズ」という分類を作って、この語を用いるべき基準としています。

「パンデミック」とは、一言でいうなら、「爆発的流行」。

新型コロナウイルスの世界での流行状況を報道で眺めていた方は、これはもうはっきり「爆発的流行」になったな、という実感を持たれたのではないかと思います。

要は、これが「パンデミック」です。

「パンデミック」という強い言葉は、いたずらに使えば人々を恐慌に陥れることにもなりかねないため、WHOのような大きな機関がこれを用いるには、もちろん十分な検討が必要です。

しかしそれは同時に、われわれが感染症のもたらす目下の危機レベルを知るための、ひとつの分かりやすい指標にもなると言えるでしょう。

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