「カフェ」と「喫茶店」は、コーヒー・紅茶・軽食などを出す洋風の店のことです。
言葉としての意味や用法に相違はあまりありません。
しかし、営業形態にはっきりとした相違があるので、営業許可が異なります。
「カフェ」として営業する場合、「飲食店営業許可」を申請し取得しなければなりません。
一方「喫茶店」は、「喫茶店営業許可」を取得する必要があります。
「喫茶店」では、アルコールや調理した料理を提供することができませんが、「飲食店営業許可」があるカフェでは、アルコールや調理した料理を提供することができます。
「喫茶店」で提供できるのは、コーヒーや紅茶などの飲料と菓子・そして単純に加熱した軽食だけです。
「カフェ」の意味
「カフェ」は、「コーヒー」そのものを指す言葉です。
現在では、主にコーヒーや、その他の飲料・菓子類を提供する店のことです。
「飲食店営業許可」があるカフェでは、アルコールや調理した料理も提供することができます。
一般的なコーヒー店のことです。
「カフェ」は、17~18世紀、フランスや英国で流行し、そこは、一種の社交場となっていました。
日本では幕末の横浜に始まり、東京では1888年、下谷黒門町で「可否茶館」が開店しました。
1911年、銀座吉町に「カフェ・プランタン」が開業し、同年、銀座尾張町に「カフェ・ライオン」、「カフェ・パウリスタ」ができました。
大正末期には全国に普及しました。
その形態は現在の「カフェバー」に近く女給が客を接待し、主として洋酒類を供しました。
大正から昭和初期にかけてとても流行しました。
「カッフェ」「カフェー」とも呼ばれました。
「喫茶店」の意味
「喫茶店」は、厳密にいえば、コーヒーや紅茶などの飲料・菓子・果物や軽食を客に供する飲食店のことです。
「喫茶店営業」を申請し、「喫茶店営業許可」を得て営業しています。
この場合、アルコール類と、調理した食事を出してはいけないことになっています。
しかし、多くの「喫茶店」を称する店が、サンドイッチやピラフを提供しています。
これらの店は、名称が「喫茶店」となっていますが、調理している食事を出しているので、実は「飲食店営業許可」を得てカフェの形態で営業していることになります。
一方、デパートなどで見かけるジューススタンドなどは、「喫茶店営業許可」を得て営業しています。
実は、「喫茶店」なのです。
「喫茶」の用法
「喫茶・きっさ」の習慣は、鎌倉時代(源実朝の時代)に中国から伝わりました。
この言葉は、茶を飲用し効用をたしなむ習慣や作法をさす言葉でした。
「喫茶去・きっさこ」という言葉は、禅で使われる言葉です。
もともとは「お茶でも飲んで来い」という相手を叱咤する言葉でした。
「顔でも洗って出直して来い」のような感じでしょうか。
後に、「お茶でも召し上がれ」という意味に解され、日常即仏法の境地を示す語とされました。
現在では、「喫茶」は、緑茶に限らず紅茶・コーヒーも含めて「喫茶」と言います。
「喫茶店」では、果汁や清涼飲料水なども供されます。
まとめ・パリのカフェ
観光地として有名なシャンゼリゼ通りの「カフェ」は、「オープン・カフェ」の形態ですが、この言葉は、フランス語と英語をつなげた和製英語です。
フランス語では[cafe’]、英語では[coffeehouse]です。
店舗の一部を屋外に出して営業するスタイルです。
フランスでは、コーヒーを提供する「カフェ」は、17世紀半ば、マルセイユに初めて登場しました。
当時、台頭しつつあったブルジョワジーにとって、そこは自由な議論を戦わせる場所でした。
後にカフェは芸術家たちが集う場所となりました。
パリ在住の日本人画家・藤田 嗣治(ふじた つぐはる、1886年11月27日~ 1968年1月29日)は、日本画の技法を油絵に取り入れて、独自の「乳白色の肌」とよばれた裸婦像などで絶賛を浴びました。
エコール・ド・パリの代表的な画家です。
彼も、パリの「カフェ」を愛して通った芸術家の一人です。