「父君・ふくん」と「父御・ちちご」と「尊父・そんぷ」は、他人の父の敬称です。
英語では「your father」で表されます。
<英語の「father」の意味>
「father」は、身内の間では多くの場合固有名詞的に「Father」と呼びます。
このことは「mother」「grandfather」「grandmother」についても言えることです。
子供が呼び掛ける場合は「Dad」「Daddy」が一般的で、「Father」は堅い言い方です。
「papa」「poppa」などと呼ぶ場合もあります。
「父君・ふくん」の意味
「父君・ふくん」は、他人の父の敬称です。
「父君・ちちぎみ」「お父上」のことです。
以下のように使います。
君の父君は、優れた教育者だ
御父君はお元気ですか
<父君・ちちぎみ>
他人の父の敬称です。
「父上」のことです。
万葉集(6)に「父君に吾はまな子ぞ」とあります。
「彼女の父君は商社に勤められていました」「あなたの父君のおかげで就職が決まりました」のように使います。
この言葉は、古風な言い方です。
書簡などで使います。
反対語は「母君・ははぎみ」です。
「父御・ちちご」の意味
「父御・ちちご」は、父の敬称です。
他人の父親の敬称です。
「ててご」とも読みます。
反対語は「母御」です。
以下のように使います。
先生の父御が古希を迎えられた
父御に面会したいのですが
<御親父・ごしんぷ>
相手の父の尊敬語です。
「御尊父」のことです。
狂言・武悪「中にも御親父にあうて御ざる」とあります。
「御親父の近況をお聞かせください」のように使います。
改まった場面や手紙文などで使います。
「尊父・そんぷ」の意味
「尊父・そんぷ」は、他人の父の尊敬語です。
多くの場合、手紙で「御尊父」のような形で用いられます。
以下のように使います。
御尊父にはいろいろご指導をいただきました
御尊父によろしくお伝えください
<父の漢字>
字義は、「ちち・てて」「親族中の老年の男性・叔父など」「老年の男性に対する敬称」「男性の称・通常『ほ』」です。
解字では象形です。
「手に鞭を持つ形」にかたどられています。
これにより「一族の統率者」「父」を意味するようになりました。
「父君・ふくん」は他人の父の尊敬語、「父御・ちちご」は他人の父親の敬称で、やや古風な言い方、「尊父・そんぷ」は、主に話し相手の父をいう場合に用います。
「父君・ふくん」「父君・ちちぎみ」「父御・ちちご」「尊父・そんぷ」「御新父・ごしんぷ」は、類語です。
共通する意味は「他人の父を敬って言う言葉」です。
「父君・ふくん」「父君・ちちぎみ」「父御・ちちご」は、第三者の父をいう場合にも、話し相手の父をいう場合にも用います。
「父御・ちちご」は、「ててご」とも読みます。
やや古風な言い方です。
「尊父・そんぷ」「御新父・ごしんぷ」は、主に話し相手の父をいう場合に使います。
上記の5つの言葉は、現在では、多くの場合手紙などで用いられます。