最近では滅多に見られなくなった風物詩に、簾(すだれ)と葦簀(よしず)があります。

昔は夏になると、お店や家の前に並んだ簾や葦簀が強い陽を遮り、涼しさを醸し出していたものです。

最近の若い人には、この簾と葦簀の違いを知らない人が少なくありません。

葦簀は主に葦(よし、あし)という植物の茎を編んで作られており、簾は主に竹で作られています。

葦簀とは

「葦簀」は、「葦簾(よしすだれ)」とも呼ばれ、本来は簾の一種です。

簾の中で、葦を使ったものが葦簀とされています。

葦の茎は高さが2m以上にもなり、また筒のようになっていることで軽く、持ち運びが楽だったため、店先で使われるようになりました。

日が出ている時は広げで立てかけ、日が沈むと丸めてたたみます。

現在でも、海の家や屋台などで見かけることができます。

簾とは

「簾」は、一般的に家の中の窓や軒などにつるし、日よけとして使用します。

そのため、葦簀と比べると小型になっています。

最近は、室内のカーテンの代わりに簾が使われるようになっています。

主に室内で使うため、「飾りひも」が付いており、また使わない時は下から丸めてひっかける「かぎ」が付いています。

なお、簾は縄文時代にその原型が見られます。

簾の歴史

簾の歴史は古く、奈良時代の頃にはすでに現在の形の物があったとされており、現実に「万葉集」でも簾のことが歌に詠まれています。

また、公家の屋敷を描いた絵の中に、高級な簾の「御簾(みす)」を見ることができます。

昔の大名や公家の屋敷では室内と屋外、部屋と部屋を仕切るため、簾に布の縁取りなどをほどこした御簾が活用されていました。

区分けが曖昧

簾の素材には、主に竹や篠(しの:竹の細いもの)が使われています。

ただ近年は、葦簀も簾もプラスチックやシリコンなどの人工素材が使われるようになっており、素材による区分けができなくなっています。

そこで、最近は単につるすタイプを簾、立てかけるタイプを葦簀と呼ぶようになっています。

なお、現在でも神社などでは御簾が使われています。

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