「やるせない」とは「気持ちを晴らす方法がなく、つらい」という意味の言葉です。

悲しさや悔しさ、寂しさなどの負の感情を消化しきれず、気持ちが晴れないときに使われる言葉です。

また、「気持ちのやり場がない、どうしようもない」という意味もあり、井原西鶴の浮世草子、「好色五人女」で取り上げられている「八百屋お七」でも使われています。

恋人に会いたい一心で放火をし、火刑となる少女の話は、まさに「やるせない」内容です。

「やるせない」の語源

「やるせない」は漢字表記で「遣る瀬無い」と書き、古語の「遣る」と「瀬」を語源としています。

「遣る」とは「つかわす、行かせる」という意味の言葉で、転じて「気を晴らす、思いを晴らす」という意味になりました。

「瀬」とは「川や海などの流れが浅いところ、またはその場所」という意味の言葉です。

この「遣る瀬」を「無い」で打ち消し、「気を晴らす場所」が「無い」という言葉になりました。

また、「川を下っている人が、舟を岸に着けたいと思ったが瀬が見つからない」という状況を表し、「遣る瀬がない」という言葉になったという説もあります。

「やるせない」の類語

「やるせない」の類語には、「気鬱」「侘しい」「切ない」「居た堪れない」「やりきれない」「やり場のない」「鬱々たる」などの言葉があります。

・気鬱(きうつ)
「気分がふさぐこと」、「気分が沈むこと」という意味です。

・鬱々たる
「気分がふさいでいて晴れ晴れとしない」という意味です。

・侘(わび)しい
「不遇な状況でやりきれなく辛い」「心細い」という意味です。

・切ない
「胸を締め付けられるような気持ち」という意味です。

・居(い)た堪(たま)れない
「その場にとどまっていられない」という意味です。

・やりきれない
「我慢できない」「耐えきれない」という意味です。

・やり場のない
「すっきりしない気持ちを持っていく場所がない」という意味です。

「やるせない」の英語表現

「やるせない」の英語表現には、「inconsolable」「crushed」「downhearted」「disconsolate」「dreary」などがあります。

・inconsolable
「慰めることのできない」「やるせない」という意味です。

「慰められる」という意味の「consolable」に、否定を意味する接頭辞「in」がついた言葉になります。

・crushed
「打ちひしがれて」「押しつぶされて」という意味です。

「押しつぶす」という意味の「crush」の過去分詞になります。

・downhearted
「落胆している」「心が痛い」という意味です。

・disconsolate
「鬱々としている」「やるせない」という意味です。

・dreary
「わびしい」「陰気な」という意味です。

「やるせない」のまとめ

「やるせない」とは、「気持ちを晴らせず切ない」という意味の言葉です。

悲しい、悔しい、寂しい、辛いなど、ネガティブな感情を晴らす方法がなく、気持ちの消化ができない状態を表します。

古語の「遣る(思いを晴らす)」「瀬(場所)」を語源としており、古くから浮世草子や文学作品などで使われてきた言葉です。

「やるせない」の意味やその類語、英語表現を知っておくと、様々な作品をより深く味わうことができます。

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