「孫氏の兵法」とは古代中国で確立された兵法書です。

中国には「武経七書」と呼ばれる優れた7つの兵法書があり、孫氏の兵法はその内の1つです。

この「孫氏」が明確に誰を指すのかは未だ議論される事ではありますが、孫武が纏め、後に子孫の孫?が記したとされる考え方が広く知られています。

どちらも紀元前の人物ですので、歴史ある兵法書である事は間違いありません。

「孫氏の兵法」の概要

兵法書は、軍隊の動かし方や陣形など実践的な内容を記すものが多いですが、孫氏の兵法はそれに加えて、軍隊を率いる立場にある者が心得るべき教えも記載されています。

ただ陣形の例を載せた「サンプル集」ではなく、将を指導する「教科書」として優れていた事で、高い評価を得るに至りました。

中でも「知彼知己 百戦不殆(彼を知り己を知れば百戦危うからず)」から始まる心得の一節は広く知られています。

「孫氏の兵法」と日本

孫氏の兵法は紀元前に生まれ、日本へは大陸との交流が始まった飛鳥・奈良時代に漢字や仏教などと共に伝えられたとされています。

その後、公家中心の穏やかな平安時代を経て、鎌倉・室町時代へと入ると武家が台頭し始めます。

孫氏の兵法を含めた武経七書は、武家子息が学ぶ教科書となっていったのです。

かの有名な、武田信玄が掲げた「風林火山」も、元は孫氏の兵法の一節です。

「孫氏の兵法」と現代社会

孫氏の兵法は、世界的に大きな戦争が無くなった近代になっても衰退する事なく、むしろ一部で再加熱さえしています。

例えば、上記した「知彼知己 百戦不殆(彼を知り己を知れば百戦危うからず)」の一節は、ビジネスにも通じる心得ではないかと言われています。

つまり、相手の需要(彼)を知り自社商品の特性(己)を知れば、ビジネスとして上手く行く(百戦不殆)という捉え方です。

「孫氏の兵法」は決して古臭くない

兵法書である以上、孫氏の兵法は飽く迄、戦場が舞台、軍隊が主役でした。

しかし今では、論語が人生における格言とされているように、孫氏の兵法も、人が何かに立ち向かう際の心得として、時代や場面を問わず非常に的を得ていると注目されています。

自己啓発が話題に上ぼる今だからこそ、読んでみれば何か得られるものがあるかもしれません。

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