奇数月になると大相撲の本場所が行われますが、大相撲の世界では番付が絶対的な意味を持ちます。
その中で、「平幕」と「前頭」という言葉があります。
平幕とは、幕内における横綱と三役(大関・関脇・小結)以外の力士を指します。
前頭も平幕と同様の意味をもちますが、実はこの二つの言葉の意味は、厳密には少し異なっています。
平幕とは
平幕とは、幕内のなかでもヒラに当たる地位のことです。
つまり、幕内において、横綱・大関・関脇・小結を除いた力士のことです。
正式には「前頭」という地位ですが、例えば前頭の力士が幕内最高優勝を果たしたときには「平幕優勝」とよぶことが一般的です。
「平幕同士の対決」「負け越して平幕に落ちた」などのように使われることがあります。
前頭とは
前頭とは、一般的には幕内力士のうち、横綱と三役力士を除く力士の地位を指します。
幕内の場合、2004年1月場所から定員が42名以内と定められたため、横綱・三役が東西各4人ずついたと仮定すると、残り34名となるため、幕内の前頭は東西各17枚ということになります。
もちろん、横綱・三役が多くなれば、その分前頭の力士が減じることになります。
平幕と前頭は厳密には異なる
平幕力士は、すなわち前頭の地位にある力士といえます。
しかし、前頭の地位にある力士がすなわち平幕力士とは厳密には言えません。
その理由は、本来の「前頭」は江戸時代における前相撲の「頭」というのが語源にあるため、横綱・三役と前相撲に位置する力士以外はすべて「前頭」の地位にあるといえるからです。
つまり、十両・幕下・三段目・序二段・序ノ口も、番付上はすべて「前頭」(番付表には「同」)と表記されています。
「平幕に落ちる」はあっても「前頭に上がる」はない
ある有名な役力士が負け越して番付が下がる場合は「平幕に落ちる」と言われます。
しかし、十両から好成績を得て幕内に番付が上がるときに「前頭に上がる」とは言いません。
これは、本来の前頭は十両以下も含まれるからです。
例えば十両5枚目は「十枚目前頭5枚目」となります(十両も本来は「十枚目」)。
つまり、既に厳密には十両力士も前頭であるため、「前頭に上がる」とは言わないのです。