日本語には発音だけではなく、漢字まで似ている言葉が少なくありません。
そのため、意味まで似たようなものと誤解されることがあります。
その言葉の例として「一応(いちおう)」と「一様(いちよう)」があります。
どちらも、「一」という文字がついていますが、使われ方は全く異なります。
一様の一には一つという意味が含まれますが、一応の一はあまり関係ありません。
一応とは
一応という言葉は「念のため」という意味です。
ほぼ大丈夫だと思われる時、また一通りできている時の確認として使われます。
なお、名詞として、一度や一回という意味を含むことがあり、例えば『一応、伝えておきます』があります。
「応」という漢字には従う、受け答えるという意味があり、そこに「一」を付けることによって「ひとたび、ふさわしい動きをする」という意味を持つ単語になります。
一様とは
一様という言葉は全て同じ様子であるという意味になります。
全てのことが同じ状況であったり、世間的にありふれたことだったりする際に使用されます。
例えば、大勢の人が同じ態度を示した時や、周りの反応が変わらない時などに使われています。
「様」という漢字は、ありさま、決まった形式、手本という意味を持ちます。
それに「一」を付けると、「それだけのありさま」という単語になります。
一応と一様の類義語
「応」という文字を使った類義語としては、互いにやり取りする「応酬」、相手に受け答えする「応対」、環境や境遇の変化に従って変わる「順応」などがあります。
「様」という文字を使った類義語には、事物や事柄に共通している一定の方法を意味する「様式」、物のありかたや行為のありさまを意味する「様態」、色々な種類の違ったものを意味する「多様」などがあります。
一応・一様の使い方
一応は「念のため」や「とりあえず」という意味があります。
例えば、『一応、見直しておいた方が良いだろう』、『一応、電話をしておくか』などと使われます。
一方、一様は全体が同じ様子であることや、その様子を意味している言葉です。
例えば、『皆が一様に黙ったままである』、『全ての木が一様に花を咲かせている』というような表現で使用されます。