「怠惰」は、キリスト教において七つの大罪のひとつとされています。

七つの大罪とは、6世紀の後半にグレゴリウス一世によって決められた、人間を罪に導く可能性があるとされる七つの欲望、感情のことです。

英語では「seven deadly sins」、日本語では「七つの罪源」とも言われています。

「傲慢」、「嫉妬」、「憤怒」、「怠惰」、「強欲」、「暴食」、「色欲」の七種類があります。

「怠惰」以外の六つは欲望を表すことに対して、「怠惰」は放棄を表しています。

「怠惰」は本来、「安息日に安息しないこと」という罪を意味する言葉でした。

「怠惰」の意味

「怠惰」とは、「しなくてはいけないことを怠り、なまけていてだらしがないこと」という意味です。

「怠」は、訓読みで「怠(おこた)る」「怠(なま)ける」と読み、「だるい、なまける」という意味の言葉です。

「惰」は、訓読みで「惰(おこた)る」と読み、「だれている、なまける」
どちらも「おこたる」という読みがあり、意味も「だらける」という意味を含む点が共通している言葉です。

この二文字が合わさった熟語が「怠惰」です。

「怠惰」の類語

「怠惰」の類語には「怠慢」「横着」「不精」などがあります。

・怠慢(たいまん)
「しなければならない義務や仕事を、怠けて疎かにすること」という意味です。

・横着(おうちゃく)
「しなければならないことを、楽をしようと故意に怠けること」という意味です。

・不精/無精(ぶしょう)
「精が出ないこと、体を動かして物事を行うのを面倒くさがること」という意味です。

・物臭(ものぐさ)
「物事を行うことを面倒くさがること」という意味です。

「怠惰」がテーマの作品

漫画やアニメでは、「怠惰」がモチーフになっているキャラクターが登場します。

・「七つの大罪」キング
・「鋼の錬金術師」スロウス
・「Re:ゼロから始める異世界生活」ペテルギウス・ロマネコンティ
・「家庭教師ヒットマンREBORN!」ベルフェゴール
また、「怠惰」をテーマにした絵画もあります。

・「7つの罪源-怠惰」ピーテル・ブリューゲル 1世
・「七つの大罪:怠惰」ジャック・カロ
文学作品でも、「怠惰」という言葉はよく使われています。

・国木田独歩「竹の木戸(たけのきど)」
「未だ磯吉は怠惰者だか働人だか判断が着かんのである。」

ここでは「怠惰者」に「なまけもの」というルビがふられています。

・太宰治「風の便り」
「君は、そんな自嘲じちょうの言葉で人に甘えて、君自身の怠惰と傲慢をごまかそうとしているだけです。」

他にも、「懶惰の歌留多(らんだのかるた)」「もの思う葦(あし)」など太宰の作品には「怠惰」という言葉が頻出します。

・宮沢賢治「フランドン農学校の豚」
「豚は決して自分が魯鈍だとか、怠惰だとかは考えない。」

「怠惰」の英語

「怠惰」を表す英語は「laziness」や「idleness」などたくさんあります。

・laziness
「無精、怠惰、ものぐさ」という意味です。

・idleness
「怠惰、無益、ブラブラしていること」という意味です。

・indolence
「怠惰、怠け」という意味です。

・inertia
「ものぐさ、無力、活発でないさま」という意味です。

・oscitancy
「怠惰、無気力」という意味です。

・accidia
「怠惰、無関心、無感動」という意味です。

・inaction
「怠惰、活動していない状態」という意味です。

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