「無沙汰」は「ぶさた」と読みます。
「ご無沙汰しております」は長く会っていない時に使う挨拶の文言です。
日頃の挨拶を欠いていること、長く連絡をしていないことなどの失礼を詫びる意味があります。
そのため、「ご無沙汰しており、申し訳ありません」などのように具体的に詫びる言葉を付ける場合もあります。
謙譲のニュアンスがあるので、目上の人や立場が上の人にも使うことができる表現です。
沙汰=便り
沙汰という言葉に「便り」「消息」という意味があるので、そこから「無沙汰=便りをしていない」という意味になります。
「音沙汰がない」「音沙汰なし」という言い方もあります。
相手から何の連絡もない時、消息がわからない時に使います。
ちなみに、「消息」は相手の状況や動静、さらにそれらを伝える手紙や連絡のことを指します。
これは「消」に「死ぬ」、「息」に「生じる」の意味があるところから来ています。
「消息を絶つ」という言い方もありますね。
地獄の沙汰も金次第
この成句はよく耳にすると思います。
「金さえあれば地獄でさえも何とかなる」という、お金を万能と見る言い方ですね。
「沙汰」には「裁定」「指示」「物事の善悪や是非を判定し、処理する」という意味があるので、そこからこの成句が生まれました。
時代劇などでは「追って沙汰する」と言ったりしますね。
これは「後ほど指示する、判断を伝える」というような意味になります。
裁判沙汰、刃傷沙汰
「沙汰」には、このような使い方もありますね。
「裁判沙汰」は裁判で争われるような事態、事件を言います。
「刃傷沙汰」は「にんじょうざた」と読みます。
刃物で人を傷つけたり、殺めたりすることを言います。
ケンカがエスカレートして、刃物を振り回すような事態になったときに「刃傷沙汰に及ぶ」「刃傷沙汰になる」と言ったりします。
沙汰の限り
その他、あまり使われませんが「沙汰の限り」という言い方もあります。
「ありえないほどのひどさ」を表す言葉です。
「沙汰」に「物事の是非を判定する」という意味があるので、本来は「沙汰の限り」は「是非を判定する範囲内」という意味になりますが、それが「範囲を越えている」という意味を持つようになりました。
違う表現で表すなら「論外」「言語道断(ごんごどうだん)」などになります。