「邂逅(かいこう)」とは「思いがけなく巡り合うこと」という意味です。

主に文学作品や手紙などの文面で使われる言葉で、口語としてはほとんど使われることはありません。

近年はテレビゲームやアプリゲームなどでも目にするようになってきました。

対象は人だけではなく、芸術作品や思想などに出会ったときにも使われる表現です。

また、良い物事に出会った場合と、悪い物事に出会った場合の両方で使われます。

古典文献では「わくらば」という読み方を持つ古語としても登場します。

「邂逅」の意味

「思いがけず偶然出会うこと」という意味の名詞です。

もともと予定していた出会いは含まれません。

「邂」は「道を歩いていると偶然出会う」
「逅」は「会う」の謙譲語、「お目にかかる」
という意味があります。

また、万葉集や浮世草子などの書物では「偶然に」「まれに」という意味を持つ形容動詞でもあります。

「邂逅」の部首は「二点しんにょう」という、「釈迦」の「迦」や「遡及」の「遡」など、常用漢字以外の漢字によく使われる部首が用いられています。

「邂逅」の類語

「邂逅」と似たような意味の言葉として、「遭遇」「奇遇」「鉢合わせ」「巡り合い」などがあります。

・「遭遇」
「予期しない出来事に出会うこと」を意味します。

主に良くない出来事に出会ったときに使う言葉です。

・「奇遇」
「思いがけず出会う」ことを意味します。

・「鉢合わせ」
「思いがけず出会う」ことを意味します。

主に良くない出来事に出会ったときに使う言葉です。

・「巡り合い」
主に良い出来事に出会ったときに使われる言葉です。

これらの言葉は全て話し言葉として日常的に使用される言葉です。

「邂逅」が使われている作品

文学作品では、夏目漱石の「吾輩は猫である」の作品内で
“その後吾輩は度々黒と邂逅する。


“まるで化物に邂逅したようだ。


という文章が出てきます。

ゲームでは、PlayStationのRPGゲーム「デュープリズム」では、イベントシーンやボス戦のBGMとして、「邂逅」というタイトルの曲が流れます。

また、PlayStation4やswitchのホラーゲーム「影廊-Shadow Corridor-」では、ゲーム内の最終ステージに「邂逅」という名前がついています。

映画作品では、1939年にレオ・マッケリー監督が製作したアメリカの映画「邂逅」があります。

「邂逅」のまとめ

「邂逅」とは「思いがけず偶然出会うこと」という意味の文語です。

「しんにょう」よりも点が一つ多い「二点しんにょう」を部首として持つため、手書きの際は注意が必要です。

日常的には「遭遇」や「鉢合わせ」などの言葉を使用することが多いため、普段耳にすることは滅多にないと思われます。

しかし、「邂逅」という言葉は人以外にも芸術品や思想に出会った場合など幅広く使えるため、様々な文学作品や映画作品、ゲーム内で使われています。

作品内で「邂逅」が出てきたときには、「予定していないことに出会った」のだと理解しておくと、その作品をより楽しめることでしょう。

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