「歌う」と「唄う」の違いは、前者(歌う)が西洋的な意味合いが強い、楽譜に表記されるようなメロディー一般を歌うことを示すのに対し、後者(唄う)は、日本的・民族的、例えば民謡のように言葉に節や独特の抑揚をつけて心情を表現する唄い方を指しています。

「歌う」が表している意味

現代の歌唱のほとんどには、「歌う」が使用されています。

ドレミファソラシド…という西洋発祥の音階や音符を使用した音楽、一般教養から専門教育、学問が基本となったメロディーを発する場合、「歌う」と広く表記されます。

「歌う」には音楽的表現以外の情緒や民族的な伝承、表現などの意味はありません。

「唄う」が表している意味

「唄う」のわかりやすい例では、民謡など日本の古来から伝承されている独特の歌唱法があります。

発声や抑揚による表現も西洋のメロディーとは大きく異なり、情緒を込めた独特の唄(うた)であり、唄い方が特徴的です。

日本に限らず、民族てきなプリミティブな音楽も「唄」と表記されることが多くあります。

「歌う」と「唄う」の用法や用例

「歌う」
小学校の音楽の時間には、今も文部省指定唱歌を「歌う」カリキュラムがあるのかな?
昔は楽譜入りの小冊子が配布されていたよね。

ウチの方では、給食の配膳の時間に皆で歌うのが習慣づけられていたよ。

「唄う」
A君の実家は日本橋なんだって?
お婆さんが民謡の先生だったらしく、唄や踊りを仕込まれていて男の子なのに大人相手に小生意気な子供だったそうだよ。

日本は「うたう」に関する漢字表現が多い多彩な文化がある

日本語には、声に出し「うたう」ことを表す漢字表現が沢山あります。

普段お生活からなんとなく気づいてはいましたが、歌う、唄う、詠う、謡う…謳う。

今の生活ではほとんど廃れてしまったような文化教養的な言葉もありますが、日本の古き良き伝統を偲ばせる象形文字発祥ならではの漢字表現です。

おすすめの記事