「カゲロウ」はカゲロウ目に属する昆虫群です。

幼虫はすべて水生で、半変態という特殊な変態を経て成虫になります。

成虫は口が退化し、数時間から数日で寿命を迎えます。

「ウスバカゲロウ」は脈翅目ウスバカゲロウ科に属する昆虫群です。

幼虫は陸生で、完全変態を経て成虫になります。

成虫は幼虫と同様肉食で、2~3週間程度生存します。

儚さの象徴、「カゲロウ」

「カゲロウ」は成虫となったあと短いもので数時間、長くても数日で寿命を終えます。

加えてその姿の弱々しさからも儚いものの象徴とされ、日本では平安時代に書かれた「蜻蛉日記」に「あるかなきかの心ちする」と書かれているほか、ドイツ語名を直訳すると「一日飛虫」、学名も「その日1日の翅」という意味です。

しかし実際は成虫の期間が短いだけで、幼虫期を含めれば半年から1年生きる昆虫です。

なお「カゲロウ」は「亜成虫」という形態を経る「半変態」という変態を行いますが、これは羽化して翅が伸びた個体がもう一度脱皮して成虫になるという珍しい形式であり、昆虫界で他に類を見ないものです。

弱々しく見えるというだけで「カゲロウ」の名を付けられた「ウスバカゲロウ」

「ウスバカゲロウ」は「カゲロウ」と同様に翅が薄く弱々しく見えることから名付けられましたが、幼虫だけでなく成虫も肉食性であり決して弱い昆虫ではありません。

成虫になってからも2~3週間は生きていられますし、「アリジゴク」として知られる幼虫は1ヶ月以上飲まず食わずでも生きていられます。

トンボにも似ていますが不完全変態の昆虫ではなく、蛹の形態を経て成虫になります。

幼虫の方が人間との関わりが深い

「カゲロウ」というと、成虫が話題になるのは橋の上で大量飛散して交通の妨げになる、というニュースの時くらいでしょう。

それよりも幼虫が渓流釣りの餌であることの方が有名です。

渓流釣りをするにあたって餌を現地調達する場合、その場の石を裏返すだけで入手できしかも魚の食いつきがいいこの幼虫は、絶好の釣り餌なのです。

「ウスバカゲロウ」も、「幼虫がアリジゴク」ということで知られている傾向が強いようです(ただしすべての「ウスバカゲロウ」の幼虫がアリジゴクというわけではありません)。

砂地にすり鉢状のくぼみを作って獲物を獲るアリジゴクはよく知られる存在で、漫画やゲームでもモデルにした描写が見られます。

決して儚くはない

成虫の姿が似ているからと言って「カゲロウ」の名を付けられた「ウスバカゲロウ」はもちろんのこと、「カゲロウ」も決して儚い生涯を送っているわけではありません。

むしろ幼虫の姿でいる間がメインの生存期間であり、繁殖(出会い)のために一時的に翅のある姿を取っているのです。

セミもそうですが、翅の生えたきれいな姿が必ずしもその昆虫にとっての「完成形」というわけではないようです。

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