人魚に例えられる生き物にジュゴンとマナティがあります。
どちらも「海牛目」で、そっくりな体形をしています。
ただ、簡単に見分ける方法があり、それが尾びれです。
ジュゴンはイルカやクジラのような三角形の尾びれをしており、マナティはしゃもじのような丸みを帯びた尾びれになっています。
また、ジュゴンの口は下向きになっていますが、マナティの口はまっすぐ伸びています。
ジュゴンの特徴
ジュゴンは西太平洋からインド洋の暖かい海に生息し、水深1~5mの浅瀬に棲んでいます。
暖かい沖縄周辺の海でも、野生のジュゴンを見ることができます。
そのジュゴンの種類は1種類しかありません。
なお、ジュゴンの口が下向きになっているのは、ジュゴンが海の底に生えている海草を主食としているからです。
海草を食べやすいように下向きの口をしています。
マナティの特徴
マナティはアメリカ大陸からアフリカの大西洋に面した川や河口などの暖かい水域に暮らしています。
寒さにめっぽう弱く、水温が20~15度を下回ると死んでしまうこともあります。
マナティにはアフリカマナティ・アメリカマナティ・アマゾンマナティの3種類があります。
マナティの主食は海面に浮いている水草です。
従って、口が前に出てエサを食べやすいようになっています。
人魚のモデルはどっち
ジュゴンとマナティのどちらにも人魚の言い伝えがあり、どちらが正解かは分かりません。
マナティ派は、有名なコロンブスの航海日誌に人魚のことが書き残されているとしています。
人魚を見た場所とマナティーの分布が一致するため、マナティーを人魚と見間違えたという説です。
一方、ジュゴン派は、南方熊楠という学者が書いた本に、「人魚と言われているのはジュゴンのこと」と記されているとの説です。
ジュゴンとマナティは棲んでいる場所が違う
ジュゴンは西太平洋からインド洋の「海」に住んでいますが、マナティは大西洋側の「川」に住んでいます。
大きさで言うと、マナティは最大で1000kg近くになり、ジュゴンより一回り大きくなっています。
また、分かりづらいですが、マナティにはひれに爪があるのに対し、ジュゴンには爪がありません。
ちなみに、日本でジュゴンに会えるのは鳥羽水族館だけですが、マナティには鳥羽水族館を始め、沖縄美ら海水族館、熱川バナナワニ園、新屋島水族館などがあります。