日本語の書き言葉に於いて、句点「。

」で終わるものを、通常「文」「センテンス」と呼び、それがいくつかの連続したまとまりになっているものを「文章」と呼びます。

しかし、その区別は明確ではなく、時には、「文章」とされるものを「文」と呼んだり、その反対に通常「文」とすべきものを「文章」と呼んだりします。

「文章」は、主に書き言葉に用いられ、同じものを話し言葉では「談話」と呼びます。

「文書」は、文字を書くという形式を用いた「記録」や「伝達の手段」のことです。

「文」の意味

1.「あや」「模様」のことです。

2.「字」や「書体」のことです。

「金文」などと使います。

「金文」・・・金属や石材に刻まれた銘文のことです。

3.「書物」や「本」のことです。

4.まとまった思想を書き表したものです。

「文にまとめる」のように使います。

5.言語表現の一単位のことです。

①構造で分ける場合・・「単文」「重文」「複文」
②機能で分ける場合・・「平叙文」「疑問文」「感嘆文」「命令文」
6.「武」に対して「学問」「学芸」「芸術」を表します。

7.文部省の略です。

8.文学・文章の略です。

「文」の類語には、「センテンス」「文章」があります。

共通する意味は、「一つの単語から成る句よりも大きい言語上の単位」です。

「文章」の意味

「文章」とは、「文を重ねて思想や感情などを表現し、一つのまとまりにしたもの」です。

通常、散文を言います。

「散文」・・・韻などをふまず自由な形式で書かれた文章のことです。

「文章を練る」「文章力」のように使います。

文章の数え方は、「項」「段落」「行」「くだり」「流れ」「編」「章」「節」などが用いられます。

「項」は、分けられた事柄を表し、法律や文章の箇条を数える言葉です。

「行・くだり」や「流れ」は、文章を数える言葉です。

「編」は、作品としての「詩」や「文章」「随筆」や「小説」を数える場合に使います。

「文書」の意味

「文書」の意味は、「文字や記号を用いて人の意思を書き表したもの」です。

「かきもの」「ふみ」「もんじょ」のことです。

「文書にして提出せよ」「文書で回答する」「怪文書」「公文書」のように使います。

「文書毀棄罪・文書きき罪」
・・・公務用の他人の文章を破り捨てるなどしてその効力を失わせ、または、効力を減少させる罪のことです。

「文書偽造罪」・・・正当な作成権限なしに、特定の文章を作った罪です。

「文書」の類語には、「書類」があります。

共通する意味は、「文字で書き記したもの」です。

まとめ・「文」と「文章」と「文書」の用途

◇文
慣用句
「文は人なり」・・・文章を見れば、書き手の人柄が判る
「文を属す・文をしょくす」・・・漢書(文章)をつづること
文字で思想・感情を書き表した場合
「文を書く」「紀行文」「抗議文」「文才がある」「作文」「序文」「名文」
言葉で表現する時の最小単位を表す場合
「文節」「単文」「複文」
学問や学芸を表す場合
「文を修める」「文武両道」「文官」「文教」「文人」

◇文章
文のまとまりの意味で使う場合
「出だしの文章」「文章をかくのが上手だ」「うまい文章だなあ」「漱石の文章をまねている」
合成語
「文章家」・・・作家のこと
「文章語」・・・文語のこと

◇文書
書類や書き物の意味で使われる場合
「公文書」「文書で申し込んでください」「文書にしたためた」
合成語
「文書課」「文書ファイル」「文書提出命令」「私文書偽造罪」

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