未然は「未だに現実となっていないこと」。
「未実現」と言い換えると分かりやすい。
已然は「既に現実となっていること」。
「現実化」と言い換えると分かりやすい。
例えば「キジも鳴かずば、撃たれまい」は未然となり、「キジも静かに隠れていれば猟師に撃たれることはない」つまり「もし余計なことをしなければ批判などはされない」と言う意味になります。
「本当にキジも鳴けば、撃たれる」は已然なのです「キジは鳴いてしまったために居場所が分かってしまい、猟師に撃たれてしまった」つまり「余計なことをしたために批判を受けてしまう」ことです。
「未然」は未現実のこと
「未然」は「未だ」と言う事ですから、ことは起きていないということです。
古文の「未然形」は現代では「仮定形」となっています。
「鳴かずば」「なかりせば」は「もし鳴いたなら」「仮になかったならば」と言う意味になり、実現はしていません。
現代語では「警察官の感覚で犯罪を未然に防ぐことが出来て良かった」などと使います。
「已然」は現実化していること
「已然」は「すでに」と言う事ですから、ことは既に起きてしまっていることです。
「已然」と言う言葉は文法の「已然形」でしか使われません。
「すでにそうなっているのだから」「すでにそうなっているために」「そうなので」「だとすれば」と言う意味になります。
「七重八重花は咲けども、ヤマブキの実の一つだに無きは悲しき」とは「ヤマブキは花が咲いているが実の一つもならない」と言う事で「ミノはありません」と断っていることになります。
「咲けども」が已然形なのです。
「未然」と「已然」は反対の意味
「未然」は「まだ起きてはいないこと」、「已然」は既に起きていることを表します。
「未然」は現代でも使っている言葉ですが「已然」は文法のみの言葉になっています。
「未然に防止出来た」と使いますが、「已然」は使いようがありません。
「未然」は「もし~ならば」であり「已然」は「そうであれば」と言う事です。
実現実と現実化の違いと言う事です。
「未然」と「已然」とは
「未然」は今だに起きていないことです。
「已然」は既に起きてしまったことです。
両方に「ば」が付くので紛らわしくなっています。
「そうならば」と「そうであれば」の違いですが分かりづらい違いなのかも知れません。
「まだ決まったわけではないが、仮にそうならば」と「もう決まったことなのだが、その通りであれば」と言う微妙な差なのです。