「香り」と「薫り」は同じ意味です。
これらの文字は、花や化粧品や飲食物の良い匂いのことです。
うっとりするようなにおいの時に用いられます。
「香り」は、もともとは「うまい黍(きび)が発する甘い香り」を意味しました。
「薫り」は、もともとは「蘭の一種をいぶしてその「かおり」を身にまとい邪気を払うこと」を意味しました。
「馨り」は、「良い匂いを発する」「香気が立ち込める」という意味です。
この文字は、「かおり」が遠くまで達することを意味します。
また、「良い影響や評判が広まること」を表しました。
「香り」の意味
「香り」と「薫り」は同じ意味です。
広辞苑や明鏡国語辞典では同じ項目に入っています。
主な意味は以下のとおりです
①「香り」と「薫り」は、「良い匂い」「香」のことです。
「梅の花の香りがただよう」のように使います。
②「艶やかな美しさ」という意味です。
源氏物語(総角)「人の御けはひ、思うように薫りおかしげなり」
③「芸術的な、なんとなく感じられる良い感じ」「優れた特性を示す雰囲気」という意味です。
「文学の香り漂う」のように使います。
◇「香り」「薫り」の類語と関連語
「香り」と「薫り」の類語は、「香・か」です。
関連語は、「芳香」「香気」です。
共通する意味は、「良い香り」です。
「香り」・・・・「バラの香り」「良い香りの紅茶」「」
「香・か」・・・「梅の香がする」「磯の香がする」「残り香がある」「移り香」
会意(いくつかの漢字を結合して字義を導き出す方法)と篆文(でんぶん・印章に使われる書体)によると、「香」の漢字は「黍・きび+甘」で構成されています。
「甘」の部分は、「うまい」という意味です。
よって、「黍がうまい」という意味です。
それから派生して、「黍などから発生する甘い香り」を意味するようになりました。
「薫り」の意味
「薫」の漢字の字義は、以下のとおりです。
①「かおりぐさ・香草」のことです。
蘭の類を指します。
昔、香り草の根を焼いて香を立て、葉を身につけて邪気を払いました。
②「かおる」「におう」「良い匂いがすること」です。
以下のように使います。
「余薫」・・・・「残りの香り」「余香」という意味です
「先代の余徳・恩恵」「余慶」という意味も含みます。
「余薫を被る」のように使います。
③「くすべる」「焼く」「たく」「いぶす」
④「香を焚きこめる」という意味です転じて「徳の力で全に導く」「感化する」という意味が生まれました。
「薫化」・・・「徳を以て良い方向に導くこと」です。
⑤「いさお・勲」「てがら」という意味です。
⑥「穏やかなさま」を表します。
「薫」という漢字は、「草+熏・いぶす」で構成されています。
「熏」の部分が、草をいぶして香気が立ち込めることを表しています。
「薫」は、「香草」を意味しています。
「馨り」の意味
この文字の「字義」以下のとおりです
「かおる」・・・「良い匂いを発する」「香気が立ち込める」という意味です。
良い影響や評判が広まることを表しました。
「かおり」・・・「良い匂い」を表します。
「良い影響」「良い評判」のことです。
「馨」という漢字は、「香+?」で構成されています。
「?・けい」の部分は、高い音を出す楽器の象形です。
「磬・けい・きょう」は、「音が遠くまで達する」という意味です。
それと同じように、「馨・かおる」は「香りが遠くまで達する」という意味を表します。
まとめ・「香り」と「薫り」と「馨り」の用途
◇「香り」と「薫り」
①香水や花の「かおり」という意味で使われる場合
「薫りの良い石鹸」「シナモンティの香り」「バラの香りで溢れている」「沈丁花は、強い薫り出す」
②「趣」という意味で使われる場合
「芸術の香り高い作品」
◇「馨り」
「長くその馨りを世に残す」「えならぬ馨りがして、美しい婦人が現れた」
「強い木の馨りが漂っていた」「あの花の馨りは強烈だ」