「校正」や「校閲」の類語には、「訂正」「修正」「改訂」「勘校」があります。

これらは、「誤りを訂正し正すこと」です。

「校正」や「校閲」は特に文書に関して誤りを訂正することを表しています。

「校正」は、文書書物の個々の部分についての訂正することを意味しています。

ゲラ刷りを原稿と照合して誤りを正すことを言います。

一方、「校閲」は、書物、あるいは、文章全体についての作業をいいます。

原稿・書類・印刷物の内容についての誤りや不備な点を調べて正すことを意味します。

「校正」の意味

「校正」は、「比べ合わせて訂正すること」です。

印刷工程の一つです。

印刷工程の途中で校正刷りと原稿を照合し、誤植や組誤り・脱落・伏字・体裁の不備・色調子などを点検して改めることをいいます。

印刷工程では、初校・再校・三校などと繰り返し校正が行われます。

校正が終わることを校了と言います。

訂正箇所が少なく印刷所に責任を持たせて校了とすることを責任校了と言います。

「校正」は、「初校ゲラを校正する。

」「校正刷り」のように使われます。

「校閲」の意味

「校閲」とは、原稿や書類全体を調べ見ることをいいます。

文書・原稿などの全体に目を通し、正誤・適否を確かめ不備や誤りを調べ正すことをいいます。

「校正」が個々の誤りに対する修正作業を指すのに対し、「校閲」は、原稿や印刷物全体についての作業をいいます。

このような作業には、専門性が求められる場合もあります。

そのため新聞社には、専門の校閲部があります。

英語では、その部門を[the proofreading section]と表します。

「校閲」は、「先生に原稿の校閲を乞う。

」「文書を校閲する」のように使います。

「校」と「正」と「閲」の構成と字義

◇「校」
「校」の字義は、①「学びや」?「比べる」です。

?の「比べる」の字義から派生する意味は、「考える・数える・報いる・かせ(手足首にはめて、体の自由を奪う物)・ませ(獣をさえぎる柵)・「陣営内の行動を制限する柵」から転じて軍隊の指揮官」です。

「校」という漢字は、「木+交」で構成されています。

「交」の部分は、組む・交わるの意味です。

「木を組む」という意味から「木の垣根」を表します。

また、「較・かく・くらべる」に通じて、比べるという意味を表すことになりました。

◇「正」
「正」は、「ただしい・ただす・まんなか・直す・前もって予期する・まつりごと・かしら・長男・まさに・ちょうど」という意味です。

「正」という漢字は、甲骨文字では、「口+止」で表されました。

「口」は、国や村の象形です。

「止」は、足の象形です。

「遠国へまっすぐ行く・進撃する」という意味です。

つまり、「正」が、「征」の原字であることが解ります。

転じて「まっすぐ・ただす」という意味になりました。

◇「閲」
「閲」の字義は、「けみする(検見する)・しらべる・選ぶ・抜き取る・文書を比較して調査研究する・てがら・すべる・いれる」です。

この漢字は、「門+兌」で構成されます。

「兌」の部分は脱に通じ、「脱がせる」という意味です。

よって、この漢字は、「門の中でいちいち脱がせて・かぞえ・あらためる」という意味です。

以上のことから、「校正」は、「比べ正すこと」という意味になります。

「校閲」は、「比べ・丹念にチェックし、改める」という意味になります。

まとめ・「校正」されなかった有名な誤植

適切に「校正」されずに世に出回った誤植の内、最もよく知られた誤植は以下の姦淫聖書の件でしょう。

それは、英国で起こりました。

1631年、印刷業者ロバート・バーカーによって欽定訳聖書が印刷されました。

この聖書は、後に「 The Wicked Bible・姦淫聖書(邪悪聖書)」と呼ばれました。

それは出エジプト記におけるモーセの十戒の第七条、"Thou shalt not commit adultery" (汝姦淫するなかれ)から、[not] が抜け落ちたために、「汝姦淫すべし」となってしまったからです。

このためバーカーは罰金を科されましたが支払えず、投獄されて獄死しました。

そして、その聖書は回収されましたが、現在も世界に11部残されているそうです。

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