海面からの高さを表すときに「標高」と「海抜」の二つの言葉があります。

標高とは、「ある基準となる港湾における平均的な海面からの高さ」を示しているものです。

一方、海抜とは、「近くの港湾における平均的な海面の高さ」を表しています。

一般的に、山岳やある地点の海面からの高さを表すときは「標高○メートル」というふうになっています。

「標高」の意味

標高は、ある基準となる港湾の平均海面からの高さを表しています。

これはその国のどこに行っても高さが変わらないように、基準の港湾がすでに決まっているのです。

日本では、標高を示す上で基準となる港湾を東京湾としており、「東京湾平均海面(Tokyo Peil)」を標高0メートルとしています。

さらに、測量の基準として東京都千代田区に「日本水準原点」があり、標高24.3900メートルと測量法に定めています。

「海抜」の意味

海抜は、その字の通り「海から抜け出ている」。

つまり海面からの高さを意味しています。

しかし、標高と異なるのは、東京湾で統一しているのではなく、その地域の付近における港湾の平均海面からの高さを示しています。

たとえば、大阪府など近畿地方であれば、大阪湾の平均海面を基準としています。

実は地域により平均海面が異なっており、東京湾を基準とすると、日本海側の海面のほうが高くなっているのです。

「標高」と「海抜」の用法の違い

標高も海抜も、日常生活においてはほぼ同じような意味で使われていますが、基準となる平均海面の地点が異なることから、近くの山の高さを標高と同じような数値で「海抜○メートル」としてしまうと、わずかに異なってしまうのです。

日本では、山の高さを示すときは「標高」、ハザードマップなどで浸水区域を調べるときなどは「海抜」を使うのが正しいです。

温暖化で海面が上昇すると沈んでしまう地帯も「海抜ゼロメートル地帯」とよびますが、「標高ゼロメートル地帯」とはよびません。

「標高」と「海抜」、同じ意味というわけではない

平均海面からの土地の高さを示す上で、大きくとらえれば「標高」「海抜」とも同じように見えますが、その地点により海面は異なるわけですから、実は微妙な違いがあるのです。

2011年の東日本大震災以降、津波の危険性のある地域には、「ここは○メートルです」という表示が見られるようになりましたが、これは標高ではなく海抜を使うのがふさわしいですよね。

二つの語の差違をしっかりおさえておきましょう。

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