「重層・じゅうそう」は、いくつも重なっていることです。
英語では「multi-layered」で表されます。
「重畳・ちょうじょう」は、幾重にも重なることです。
「積み重なる」は「be piled up」で表されます。
「さらに加わる」は「a series of」です。
「十重二十重・とえはたえ」は、幾重にも多くの人間が重なることです。
「警察がその家を十重二十重に取り囲んだ」は「The house was surrounded by droves of police men.」です。
「十重二十重に取り囲む記者たち」は「the reporters crowding around him」「です。
「重層・じゅうそう」の意味
「重層・じゅうそう」は、いくつも重なっていることです。
幾重にも重なっている様子を表します。
「重層的な構造を持った建築物」のように使います。
<重層的決定>
フロイトの用語です。
一つの出来事が、複数の原因が重なり合って引き起こされることを指します。
アルチュセールが、これをマルクス主義の歴史理論に適用し、社会の構造主義的分析に道を開きました。
「多元的決定」ともいいます。
「重畳・ちょうじょう」の意味
「重畳・ちょうじょう」は、以下のような意味です。
①幾重にも重なることです。
②この上もなくまんぞくであることです。
とても好都合なことをいいます。
古風な言い方です。
感動詞的にも使います。
狂言の栗燒に「重畳の炭火がおこしてある」「御無事で何より重畳です」とあります。
以下のように使います。
重畳する山々 重畳たる山なみ
罪科重畳
「十重二十重・とえはたえ」の意味
「十重二十重・とえはたえ」は、幾重にも重なるさまです。
多くの場合人間が取り囲みます。
以下のように使います。
群衆が、十重二十重に彼を取り囲んだ
野次馬が、事件現場を十重二十重に取り囲んだ
<重の漢字>
字義は「おもい」「おもんじる」「おもさ」「にもつ」「はばかる・恐れる」「かさねる」です。
解字では、形声です。
「壬」の部分は、「人がつったっている形」です。
「東」の部分は「袋に入れた荷物」を表します。
原義は、「人が荷物を背負って立っている」を表します。
これより引いて「おもい」を意味します。
<形声>
六書の一つです。
いくつかの漢字を結合し、一方を発音記号として用い、他方を意味範疇の記号として用います。
例えば、「河」は「水+可」で構成されます。
「可」の部分は「声符」と呼ばれる発音記号です。
「水」の部分は「意符」と呼ばれ「字義」を導きます。
「重層・じゅうそう」は いくつも重なっていること、「 重畳・ちょうじょう」は幾重にも重なること、「十重二十重・とえはたえ」は、人が 幾重にも重なるさまです。
「重層・じゅうそう」「重畳・ちょうじょう」「十重二十重・とえはたえ」は、類語です。
共通する意味は「幾重にも重なっているさま」です。
「重層・じゅうそう」「重畳・ちょうじょう」は、立体的な重なりを表します。
「重畳・ちょうじょう」は、文章語です。
「重畳に存じます」のようにこの上もなく喜ばしいことも表します。
「十重二十重・とえはたえ」は、多くの場合、人間が幾重にも重なって何かを取り囲む場合に用いられます。