人や団体を批判する時の似たような言葉に、「糾弾」と「非難」があります。
例えば、国会議員や企業などが不祥事や事件を起こすと、テレビやネットで糾弾という言葉が使われます。
これは要するに、やったことを責めるという意味です。
また、社員が会社で仕事上のミスをすると非難されます。
こちらも、やったことを責められる意味があります。
批判することに変わりはありませんが、使う時の対象が違います。
糾弾とは
糾弾の言葉には、「罪や責任を問いただしてとがめる」という意味があります。
起きた出来事に対して使われます。
糾弾の「糾」という字には、「糸をより合わせる」や「事態のもつれをただす」、「あばく」などの意味が含まれます。
「弾」の字は、「はじき弓(武器の一種)」を表し、「はじく」などの意味もあることから、「罪をあばく」際に使われます。
非難とは
非難という言葉は、「人の欠点や過失などを取り上げて責める」という意味になります。
誰かの良くない行動などについて、それを指摘してとがめる時に使われます。
非難の「非」の文字は「そむく」ということを表しますが、「欠点」という意味も含まれています。
「難」の字は「災い」や「むずかしい」を意味しますが、「なじる」の意味もあります。
糾弾と非難の使われ方の違い
糾弾が主に団体が起こした事件などに対して使われる一方、非難は主に個人のミスなどに対して使われます。
例えば、糾弾の場合は『不正献金問題でマスコミが政党を糾弾する』や『保険会社が情報漏えいを厳しく糾弾された』と使われます。
政党や会社とも団体です。
非難の場合は『彼の態度が非難の原因だ』や『係員の火の不始末に非難が集中した』のように使われます。
彼も係員も個人です。
対象の違い
糾弾と非難の主な違いは、その対象にあります。
一般的に、糾弾の対象は団体であり、また事件などの「出来事」に対して使われます。
非難の対象は個人であり、個人の「欠点や過失」に対して使われます。
また、糾弾は大勢の人が責任を追及する時などに使われます。
従って、上司が部下と1対1の状況の時に部下の遅刻を叱る場合、『上司は部下の悪癖を糾弾した』とは言いません。