春先、桜が散った後の植え込みや土手に、一斉に芽吹いて黄色いタンポポそっくりな花があたり一面に広がっていました。
つくしや赤いレンゲの花も混じって、それはもう春らしくて通勤時の早朝心和むひと時です。
最近のタンポポはすっかり外来種だな、とすぐにわかるほどの膝下まで来る茎の長さで、茎先についた黄色い花が一斉に風に揺れる様はCGのようです。
何ていう花なのだろう…。
ぼんやりと思ってはいましたが、昔はなかった今時の光景なのだろうとあまり気にはとめませんでした。
ところが…!
外来種のタンポポに似た花の強さ
春爛漫といった光景を毎朝鑑賞していたところ、ある日黄色いお花畑が根元まで一斉に草刈り機で刈り取られていました。
…なんで!?
このような惨いことを!
と、悲しんでいたところ、雨の日をはさんで1週間もたった頃には、次々と花芽が長い茎をもたげて立ち上がり、10日も経つ頃にはまた以前のように黄色い花を咲かし始め、以前通りのお花畑に戻っていました。
強い!
日本古来の野草にはない繁殖力の強さです。
一斉刈り取りの効能
春爛漫の美しい光景の時期に一斉に刈り取ってしまうとはあんまりなことでしたが、しばらくして復活したお花畑を見て納得しました。
葉っぱだけの雑草も同時に刈り取っていることから、その後のお花畑は、生命力の強い赤いレンゲとタンポポもどきだけとなり、すっきりとした印象の花壇と化したのです。
その一方、刈り取りが行われなかった道路わきの中央分離帯では、既に咲き終えたタンポポが白い綿毛をつけ、赤いレンゲが赤黒く枯れ始め、ヒメジオンなどが咲き、すっかり景色は混色となって見苦しく変化を遂げていました。
葉っぱのみの雑草まで伸び、暑苦しく、虫も出そうな雑多な光景です。
外来種のタンポポに似た花の名は?
ここまで来て、ようやく強力な花を咲かせ続けるタンポポもどきについて、興味を持って調べてみることにしました。
その花の名は、俗称タンポポもどき、正式には「ブタナ」という凄い名称がついていました。
名付けた人たちは、よほどかつて問題となったセイタカアワダチソウと同じくらい、この花を嫌ったのに違いありません。
ブタナは、やはり外来種であり、その繁殖力の強さから、芝生を荒らしてしまうという害草に指定されているようでした。
なるほど、一斉に根元まで刈り取られた敷地は、公共施設に隣した敷地でもありました。
かつては、芝生の植え込みだったのです。
タンポポに似た「ブタナ」は、食べられる!
タンポポに似た「ブタナ」は、実は全草が食べられます。
原産地であるヨーロッパでは、ハーブとされ、揚げ物や根をタンポポコーヒー同様利用されています。
セイタカアワダチソウもこの点では一緒です。
このことを知っても、誰もあえて食べようとは思わないと思います。
おそらく本来のタンポポは、漢方の材料にもなる有用植物ですが、手折ると白い液が出るため、毒の印象を持つ人が多いためです。
実はアクが強いだけで、ゆがけば大丈夫の様です。
犬の散歩道でなければ、お試しいかがでしょうか。