大相撲における平幕優勝は、幕内の前頭力士、いわゆる「平幕力士」が幕内最高優勝を果たしたときに使われる言葉です。
上位陣の力士の成績が振るわず、役力士でない力士が好成績を収めることで実現できるものです。
一方、幕尻優勝は、幕内前頭の中でも最下位の番付にある力士が幕内最高優勝を果たした際に用いられる言葉となります。
平幕優勝とは
平幕優勝とは、大相撲の番付において、幕内の前頭に位置する力士が幕内最高優勝を果たした際に報道などで使われる言葉です。
数年に一度のペースで達成されてきましたが、2021年現在、直近4年間を見れば、毎年1名は平幕優勝を達成しています。
これまでのべ33人の力士が平幕優勝を果たし、琴錦功宗のみ、唯一2度の平幕優勝を果たしています(1991年9月:東前頭5、1998年11月:西前頭12)。
また、15日制が定着した1949年5月場所以後、15戦全勝を果たした平幕力士は、1957年11月の玉乃海太三郎(東前頭14)が現時点で最後となっています。
幕尻優勝とは
幕尻優勝とは、大相撲の番付において、幕内の前頭、それも前頭の最下位に置かれている力士が幕内最高優勝を果たしたときに表現される言葉です。
15日制になる以前の時代に1939年1月場所の出羽湊利吉(西前頭17:13戦全勝)、1949年5月以降の15日制ではこれまで3例あります。
最初の例は、2000年3月場所の貴闘力忠茂(東前頭14:13勝2敗)そのうち後の2例は2020年に起こり、1月場所の德勝龍誠(西前頭17:14勝1敗)、7月場所の照ノ富士春雄(東前頭17:13勝2敗)の2名です。
平幕優勝と幕尻優勝の違いや経験者のその後
平幕優勝と幕尻優勝の違いとしては、幕尻優勝も平幕優勝に含まれるものです。
また、平幕優勝を果たした力士は大成しないというジンクスがこれまであったとされていますが、1961年5月の佐田の山晋松(西前頭13:12勝3敗)がその後横綱に昇進したころから、このジンクスは消えたとされ、現在では平幕優勝を果たしたのち、大関・横綱まで昇進した力士が増えてきました。
平幕優勝や幕尻優勝は、波乱の幕開けか
平幕優勝や幕尻優勝が起こる場所は、上位陣がそもそも不調の場所であったり、出場しても総崩れになったりする場所が多いです。
また、上位陣も好調の場合、前頭の最下位、つまり幕尻力士は三役以上と対戦することは通常ありませんが、取組編成のときに原則を外れて上位陣と組まれ、優勝争いを盛り上げるということもあります。
貴乃花光司のような新鋭の力士が平幕優勝するときは、新時代の幕開けとされ、旭天鵬勝のように最高齢での初優勝となると、ドラマチックに取り上げられることもあります。