「和歌」は奈良時代以来、日本で培われてきた文学の種類です。

五・七・五・七・七の計31文字を基本として、風景や叙情などを表現するものです。

有名な和歌集として『万葉集』や『古今和歌集』、『新古今和歌集』などがあります。

一方、「短歌」は明治時代以降、和歌から変化を遂げて登場したものです。

正岡子規や与謝野鉄幹・晶子夫妻の登場が、短歌の発展の基礎となります。

「和歌」とは

和歌とは、日本において飛鳥・奈良時代から始まる文学作品の一つです。

五・七・五・七・七の三十一文字で表すものです。

古くは奈良時代の『万葉集』に始まり、平安時代初期の『古今和歌集』、鎌倉期の『新古今和歌集』など多くの和歌集が編まれました。

平安期には紀貫之、鎌倉期には藤原定家らを生み出し、当時の貴族にとって兼ね備えるべき教養であり、たしなみでもありました。

「短歌」とは

短歌とは、日本において従来の和歌とは一線を画し、新たなジャンルとして明治時代に登場しました。

俳人であった正岡子規が、和歌の近代化に乗り出したことに端を発し、与謝野鉄幹・晶子夫妻のように自由で個性を最大限三十一文字で表した作品を多く生み出すことになりました。

この人物の登場を機に、近代短歌が発展を遂げ、現在に至るようになりました。

和歌と短歌の違い

和歌と短歌の違いとして挙げられるのは、修辞技法の存在の有無です。

和歌には、特定の語の前に置く「序詞」や、和歌で登場する名所を表す「歌枕」などがあります。

また、連想できる言葉を二つ以上、一つの和歌に含まれる「掛詞」や「縁語」があります。

しかし、短歌には、あまりこれらの技法が用いられることはありません。

ここには、短歌が、従来の和歌を批判的にみて改革を試みた結果であると考えられます。

和歌と短歌、近代化にともなう変化がきっかけ

和歌が短歌へと変化を遂げたのは、正岡子規が著した『歌よみに与ふる書』が契機となります。

これは、和歌を『万葉集』へ原点回帰を図ろうとする一方、優雅さを特徴とし、中世以降の模範とされた『古今和歌集』を批判したもので、当時の歌壇に衝撃を与えました。

中世以降、連歌や狂歌の登場もあり、和歌が衰退していたこともあったため、自由や個性を最大限発揮した「短歌」として新たに生み出そうとしたのです。

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