「夢」は、睡眠中に様々な物事をあたかも現実の経験であるかのように感じる心的現象です。
多くは視覚像として現れます。
「恐ろしい夢を見た」「夢から覚める」のように使います。
また、将来実現させたいと思っている願いのことです。
「夢を抱く」「夢がかなう」のように使います。
さらに、現実離れした空想のことです。
「夢を追い求める」のように使います。
また、はかないもの、また、頼りにならない物の例えです。
「人生は夢です」「夢の世の中」のように使います。
「希望」は、ある事柄を成就させようと願い望むことです。
その事柄をいいます。
「望み」と同じ意味です
「進学を希望する」「希望退職」のように使います。
また、将来に良いことを期待する気持ちのことです。
「希望に燃える」「夢も希望もない」「希望的観測」のように使います。
「夢」の意味
「夢」は、「寝目・いめ」の転といわれます。
「夢」は、睡眠中に持つ幻覚です。
目覚めた後に認識されます。
視覚的な性質を帯びますが、聴覚・味覚・運動感覚に関係します。
精神分析では、抑圧された願望を充足させる働きを持つとされます。
古今和歌集(恋)には、「思いつつ寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせばさめざらましを」とあります。
「夢を見る」のように使います。
また、はかないもの、頼みがたいものの例えです。
「夢幻」のことです。
古今和歌集(哀傷)には、「寝ても見ゆ 寝でもみえけりおほかたは 空蝉の世ぞ夢にはありける」とあります。
「太平の夢」「夢の世」のように使います。
さらに、空想的な願望のことです。
心の迷いです。
「迷夢」のことです。
「いたずらに夢を追う」のように使います。
将来実現したい願いのことです。
「理想」と同じ意味です。
「海外進出が私の夢です」「夢を描く」「オリンピックでメダリストになるのが夢だ」のように使います。
英訳する場合、「A dream/ dream 」で訳されます。
「希望」の意味
「希望」は、こうあってほしいと望み願うことです。
「自分の希望を述べる」「個人の希望により~」「希望に反して」「希望が叶う」のように使います。
また、将来に対する明るい見通しのことです。
「子の調子なら希望が持てる」「希望に満ちた青年」「交渉の成功に希望が湧いた」「希望を捨てた」のように使います。
ユダヤ教やキリスト教では、「希望」は「信仰」と「愛」と並んで三対神徳(キリスト者の基本的態度)を意味します。
旧約聖書では、「希望」は「イスラエルの救い」を意味しました。
新約聖書に於いて、信仰における「希望」とは、人間の心理的欲求や期待ではなく、人生の矛盾と困難にあって、「神の意志に全てをゆだね神の国の成就と人類の救いを望み続けること」です。
これは、終末的意義を持つ「永遠の希望」を意味します。
英訳する場合、「Hope/ wish/ a desire /an aspiration 」で訳されます。
「夢」と「希」と「望」の字義と解字
「夢」の字義(漢字の意味)は、「ゆめ」「ゆめみる」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「夢」はもともと「くらい」という意味を表しました。
「人が屋内の寝台に寝て暗い中で見るもの」という意味から「ゆめ」の意味が発生しました。
「希」の字義(漢字の意味)は、「まれ」「かすか」「のぞむ」「こいねがう」「かわく」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「希」は「爻+巾」で構成されます。
「爻」の部分は折り目の象形です。
「巾」の部分は、布切れの意味です。
「織目が少ない、まれ」の意味を表します。
また、「折」に通じ、「望み・求める」という意味も表します。
現代表記では、「稀」の代わりに「希」を用います。
「望」の字義(漢字の意味)は、「のぞむ」「のぞみ」「うらむ」「望月」「祭りの名前」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「望」は「月+壬+亡」で構成されます。
甲骨文字では、「背伸びした人の上に強調した目を置いた形」にかたどり、「遠くを望む」の意味を表します。
「希望」はすぐに実現可能なこ、「夢」は、かなえられるかどうか解らないが将来実現させたいと思っていることをいいます。
「希望」「望み」「夢」
共通する意味は、「実現を待ち望むこと。
将来への明るい見通し」です。
以下のように使います。
「希望をもちつづける」「画家になるのが希望だ」「希望に燃える」「ご希望の品です」
「望みを持ちつづける」「画家になるのが望みだ」「子供に望みを託す」「お望みの品です」
「夢を持ちつづける」「画家になるのが夢だ」「子供に夢を託す」
「希望」「望み」は、多くの場合「夢」に比べて、すぐに実現可能なことをいいます。
また、「ご希望」「お望み」のように、「希望」「望み」は「~してほしい」「~してもらいたい」という意味になります。
「ご希望により調理方法は変更できます」のように使います。
「夢」は、かなえられるかどうか解らないが将来実現させたいと思っている事柄をいいます。