「前述」と「先述」と「前出」と「後述」は、いずれも報告書やレポートなどでよく使用される文言です。
「前述」「先述」「前出」は、主に前に出てきた文章や言葉を指し、「後述」は、後に出てくる予定の文章を指します。
「前述」「先述」「前出」は、指す範囲の広さが異なります。
前出が最も狭く、前に出てきた言葉(名詞)を指し、前述は文章を指します。
先述は、前述と同義に使用されることもありますが、一連の記載にない文章や言葉を指すこともあり、最も広い範囲の内容を指します。
「前述」の意味
前述とは、前に述べた内容を意味します。
一連の記載の中で既に出てきた文章を指して、「前述のように」「前述にあるように」などという使い方をします。
報告書やレポートなどで、同じ記載を繰り返して文章が冗長になるのを防ぐ目的で使用されます。
「前述」自体に「前に述べる」という意味が含まれているので、「前述で述べたように」という用法は、二重表現となります。
「先述」の意味
先述も、前述と同様に前に述べた内容を意味します。
一連の記載で既に出てきた文章を指して「先述のように」という使い方をします。
しかし、前述とは異なり、一連の記載にない内容を指す場合もあるので、先述のほうが、より意味する範囲が広い言葉になります。
また、前述が、記載の中の前後関係が前であるという意味だけなのに対し、先述は、過去に起こったことを指す場合もあります。
「前出」の意味
前出も前に述べた内容を意味し、一連の記載に既に出てきた言葉を指して「前出の〇〇」(○○は名詞、人など)のように使います。
前述が、広い範囲の文章を指すことが多いのに対し、前出は特定の対象を指す点で異なり、前述よりも指す範囲が狭い言葉になります。
「上記」「既出」も前出とほぼ同義の言葉ですが、「上記」の場合、横書きでないと違和感があります。
「後述」の意味
後述とは、後に述べる内容を意味し、一連の記載の中でこれから出てくる予定の文章を指して「後述のように」「後述します」という使い方をします。
「前述」の対義語となり、組み合わせてセットで使用されることも多い言葉になっています。
横書きの場合、「前述」は「上述」とも言い換えられますが、「後述」は、「下述」とは言い換えられません。