「皮肉」には主に三つの意味があります。

①相手の欠点や弱点を遠回し非難すること
②予想していた結果と違うものになること
③うわべ、表面のこと
現代では主に①の意味で使われることが多く、「皮肉を言う」「皮肉屋」など様々なシーンで使われる言葉です。

「皮肉にも、このような結果になった」という場合の「皮肉」は②の意味で使われています。

③の意味で使われることはあまりありませんが、谷崎潤一郎の小説「蓼(たで)喰う虫」の中で使われている、“だんだん年を取るに連れて趣味が皮肉になって行くんだね。

”というセリフの「皮肉」は、③の意味で使われています。

「皮肉」の語源

「皮肉」という言葉は、「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」という仏教語が由来となっています。

「皮肉骨髄(ひにくこつずい)」とは、禅宗の祖師である達磨大師が弟子を評価した際に使った言葉です。

四人の弟子に対して、それぞれに
「我が皮を得たり」
「我が肉を得たり」
「我が骨を得たり」
「我が髄を得たり」
と伝えました。

「皮」と「肉」は表面的な部分という意味で、「髄」は本質的な部分という意味を示しています。

つまり、「皮を得たり」「肉を得たり」は一見良い評価を与えているようで、実は「表面しか理解できていない」という指摘になります。

ここから、「皮肉」という言葉が、批評を意味する言葉として残りました。

「皮肉」の類語

「皮肉」には、「嫌味」「風刺」「当てこすり」「あてつけ」「シニカル」「毒舌」などの類語があります。

・嫌味
「意図的に人に不快感を与えるような言動をすること」という意味の言葉です。

・風刺
「社会、人物の欠点や欠陥を遠回しに批評すること」という意味の言葉です。

・当てこすり
「なにかにかこつけて人を非難すること」という意味の言葉です。

・あてつけ
「なにかにかこつけて人の気に障るような言動をすること」という意味の言葉です。

・シニカル
「冷笑的」「皮肉な態度をとること」という意味の言葉です。

・毒舌
「辛辣な言葉をいうこと」「手厳しい悪口」という意味の言葉です。

「皮肉」の英語表現

「皮肉」の英語には、「irony」「sarcasm」「satire」「cynicism」などの言葉があります。

・irony
「皮肉、当てこすり、反語」という意味の言葉です。

「知らないふりをする」という意味の古代ギリシャ語、「eironeia」が語源となっています。

・sarcasm
「皮肉、当てこすり、嫌味」という意味の言葉です。

主に個人に対する皮肉として使われます。

「肉を裂くような」という意味のギリシャ語、「sarcastic」が語源となっています。

・satire
「皮肉、風刺」という意味の言葉です。

特に社会のシステムや権力者などに対する皮肉として使われます。

語源はラテン語の「satira」であるとも、ギリシャ神話に登場するサテュロスとも言われています。

・cynicism
「冷笑、皮肉」という意味の言葉です。

当時、社会に対して冷笑的な、皮肉な態度をとっていた古代ギリシャ哲学の流派、「cynicus」が語源となっています。

「皮肉」のまとめ

「皮肉」とは、「遠回しに相手の欠点を非難すること」という意味の言葉です。

直接的な言葉で非難するのではなく、間接的に非難することを指します。

昔、僧侶が弟子を評価する際に使った仏教語が語源となっていて、「嫌味」「風刺」「毒舌」などの類語があります。

「皮肉」にはネガティブな意味合いが強く含まれていますが、皮肉な名言や秀逸なブラックジョークなどにも通じているため、広く人々に親しまれてきた言葉でもあります。

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