「見やる」は、遠くを眺めることです。
英語では「look at」「look into the distance」で表されます。
「その方を見る」という意味の場合「look at」を使います。
「遠くを見る」という意味の場合「look into the distance」です。
「眺める」は、見渡すことです。
英語では「look at」で表されます。
「この窓から海が眺められる」は「This window overlooks the sea. 」「This window looks out on the sea. 」「 This window commands a view of the sea. 」です。
「望む」は、遠くから眺めやることです。
英語では「see」「command (a view) 」で表されます。
「この部屋から素晴らしい景色が望まれる」は「This room commands a splendid view of Matsushima. 」です。
「湖はここから望むと実に美しい」は「The lake seen from here is really beautiful. 」です。
「見やる」の意味
「見やる」は、以下のような意味です。
①遠方を望むことです。
遠くを眺めることです。
見渡すことです。
伊勢物語に「大和の方を見やりて」とあります。
②その方を見ることです。
源氏物語(帚木)に「さるかたにて捨て難きものをばとて、式部見やれば」とあります。
以下のように使います。
はるか故郷の山々を見やる 沖を見やると、大きな船がゆっくりと走っていた 窓から外を見やる ぼんやり空を見やる はるかかなたを見やる 音のする方を見やる
「眺める」の意味
「眺める」は、以下のような意味です。
①つくづく見守ることです。
物思いをしながら一か所を長い間見ることです。
古今和歌集(夏)に「ひとりのみ眺むるよりは」とあります。
②見渡すことです。
遠く望むことです。
千載和歌集(夏)に「ほととぎすなきつる方を眺むれば」とあります。
以下のように使います。
汽車の窓から風景を眺める 窓から外を眺める ぼんやり空を眺める はるかかなたを眺める
☆関連語
「眺めやる」は、視線を遠くに向けることです。
「はるかな峰々を眺めやる」のように使います。
「望む」の意味
「望む」は、以下のような意味です。
①遠くから眺めやることです。
土佐日記に「唐詩(からうた)に、日を望めば都遠しなどいふなる事のさま聞きて」とあります。
②「願う・欲する・期待する」という意味です。
源氏物語(宿木)に「御後見望む気色もらし申しけれど」とあります。
③「仰ぐ・慕う」という意味です。
以下のように使います。
はるかに佐渡を望む はるか富士を望む部屋 はるかかなたを望む ふもとから山頂を望む 望むところだ
「見やる」は 遠くを眺めること、「眺める」は 見渡すこと、「望む」は 遠くから眺めやることです。
「見やる」「眺める」「望む」は、類語です。
「眺めやる」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「漠然と遠くを見る」です。
「見やる」は、遠くに目を向けることです。
「見遣る」とも書きます。
「ものうげに友を見やる」のように「その方を見る」という意味もあります。
やや古めかしい言い方です。
「眺める」は、風景などを遠く見ることです。
一点に視線を集中せず、広く全体を見ることです。
または、「じっと手を眺める」のように、「一つの物を集中して見る」という意味でも使います。
「望む」は、遠くの対象を見ることです。
「見ることができる」という可能性を意味することもあります。
「オリンピックの開催を望む」「待遇改善を望む」のように、「期待する・求める」という意味もあります。
やや古めかしい言い方です。