虫は「蟲の略字のこと、小動物の総称のこと」。
「小動物」と言い換えると分かりやすい。
蟲は「虫の旧字のこと」。
「甲虫」と言うと分かりやすい。
「虫」と言う漢字はいわゆる甲虫などのムシのことではなかったようです。
蛇の形を模した字なのです。
中国では小動物に「虫」と言う漢字を当てていました。
「蟲」は日本でも戦前まではムシの意味で使っていたのです。
戦後に略字として「虫」の字が当てられたものですが、本来の意味とは異なります。
「虫」はマムシのこと
「虫」はマムシの形から作られた漢字で、「キ」と発音していました。
小動物に付けられた漢字が残っています。
例えば「蛤、牡蛎、蛙、蝸牛、蚯蚓、蛸、蛇、蝦、蜥蜴、蝮、蠍」「爬虫類、三葉虫」「虹=竜の形」等、「ムシ」ではありません。
「ムシ」の意味で付けられているのは「蝉、蜩、蚊、蟻、蝗、蛹、蟷螂、虻、蛭、螻蛄、蚕、蛍、蝶、蛾、蠅」などがあります。
「蟲」は小さなのこと
「蟲」は小さなムシが集まっている様子のことを表していますから、甲虫や蝶、蛾のような「ムシ」のことを意味した漢字です。
現代に至る長い間「蛇を意味する虫」と「いわゆるムシの蟲」は混同されて使われてきましたが、蝶や蛾などのムシは略字の「虫」として統一されています。
今では、「蟲」は極一部でのみ使われるものになっています。
「虫・キ」と「蟲・チュウ」は別の字
「虫・キ」と「蟲・チュウ」は成り立ちや意味も異なる別の字でした。
しかし、戦後の当用漢字改革で「蟲」は「虫」と表記することになったため、別字の「虫」が「蟲」に取って代わられてしまったのです。
その結果、「蛇や爬虫類、小動物」を意味する「虫」は本来の意味を失い「ムシ」と言う意味に使われているのです。
「蛤や蛙、蜥蜴、蝮」等に「虫偏」が使われる理由はここにあるようです。
「虫」と「蟲」とは
「虫」は蛇のマムシをイメージして作られたと言われています。
「蛇や爬虫類、小動物全般」のことを意味する漢字だったのです。
「蛤、牡蛎、蛙、蝸牛、蚯蚓、蛸、蛇、蝦、蜥蜴、蝮、蠍」など、今でも「虫偏」の付く「ムシ以外」の動物が多くあります。
「蟲」は蝶や蛾、甲虫などの「ムシ」のことを意味します。
しかし、戦後、略字として「虫」が当てられた結果、使われなくなりました。