「いつくしみ」と読みます。
「慈」には、深い愛、無償の愛、可愛がるという意味があります。
相手のことを思いやる気持ちであり、恋愛による愛情というよりは、親子の間に起りうる愛情の方に近しいものです。
語源は平安時代の「うつくしむ」という言葉の意味「可愛がる・大切にする・愛する」が転じたものだと言われています。
「慈しみ」の意味
「慈」を使ったものに「慈愛」があります。
「常にいつくしみを注いで可愛がる心」という意味です。
類義語には「恩愛」「慈悲」などがありますが、表面上の愛ではなく、その心の深いところ、弱い者や下にある者にめぐみをかけて大切にすることであり、まるで仏様のように全てを許し、全てを包み込む無償の愛というイメージです。
「慈しみ」の使い方
「慈しみ」は「無償の愛」であり、その対象は人間や生き物であると思われます。
慈しみの心を持つ人とは、見返りを求めずにその相手のためを思うからこそ一生懸命に尽くせる人です。
相手を怒ったり責めたりしないで、いつもその相手のことを思いやる優しい気持ちがあります。
愛情深い人が全て慈しみの心を持っているとは限りませんが、血のつながった家族に対して、子供に対して、守ろうと強く思う気持ちが自然と湧き出るような関係下において、「慈しみ」という感情が生まれるのでしょう。
「慈しみ」の例文
・彼は、反抗する息子や娘にも常に慈しみを持って接し続けてきました。
・現代社会の問題は、少子化・核家族化など人との関わりが薄くなり、慈しみの気持ちを持つ人間が少なくなっているということです。
・いつも苦労をかけてきたあの人には、どうか慈しみの気持ちで接してあげてほしいです。
・動物の親子が無償の愛を与えるように、わが子には慈しむ気持ちを持って成長してほしいと願っています。
現代の慈しみの心
無償の愛、見返りを求めず、自らを犠牲にしてまで相手の幸せを願うこと。
それが慈しみというものであると思います。
生き物の本能として、血縁のものを守るということが自然の習わしであれば、それがすなわち「慈しみ」にも繋がるのでしょう。
現代社会は病んでおります。
血縁者であっても、殺傷するような世の中です。
慈しみの心は、歴史上の産物として過去のものになってしまったのかもしれません。
ですが、人を深く愛することは失っていないと思います。
家族はもちろんとして、自分が愛する人、恋愛の中にも「慈しみ」による愛が存在してもよいのではないかと思います。