偏在とは「かたよって存在すること」ないし「ある所にだけ在ること」です。
遍在とは「あまねく存在すること」、ないし「どこにでも在ること」です。
読みはどちらも「へんざい」で漢字もたいへん似ているのに意味は正反対です。
前者は偏頭痛の「偏」、後者は普遍的の「遍」と覚えておくと誤変換防止に役立つでしょう。
「偏在」の意味
偏在とは「かたよって存在すること」ないし「ある所にだけ在ること」です。
例えば地下資源の石油は、同じ地球上でも、中東、米、露等々ある地域にだけあり、またダイヤモンドは南アフリカなどにだけあり、そうでないところにはありません。
このようにかたよったある所にだけ存在する状態を、偏在すると言います。
つまりこれらの例だとそれぞれ「石油は偏在している」「ダイヤモンドは偏在している」と言います。
「遍在」の意味
遍在とは「あまねく存在すること」、ないし「どこにでも在ること」です。
例えばよく使われるのが「神は遍在する」という言い方。
全知全能の神は、同時にどこにでも居ることができ、あなたのすぐ横にもあなたが向かい合っている相手の中にもどこにでもいて、いつもあなたの事を見ています、といった意味で神は遍在する」と言われます。
「偏在」と「遍在」の用法と用例
・「偏在」の使用例:
ダイヤモンド鉱山は南アフリカに偏在しています。
再分配は、富の偏在を緩和するための策です。
医師が都市部に偏在するのは社会問題です。
・「遍在」の使用例:
神の遍在。
ユビキタス (ubiquitous) は、あらゆるものがコンピューターと繋がり、いつでも、どこでもコンピューターの支援が得られるような世界や概念を指す言葉ですが、元は「遍在」という意味です 。
曲者、「偏在」と「遍在」との混同問題に気を付けましょう
「偏在」という語と「遍在」という語は、音ばかりでなく漢字もよく似ていて間違いやすいです。
そのくせ意味は正反対なので、取り違えたときの文章の「破壊力」はかなりのものです。
元々「遍在」はあまり使われない言葉でしたが、近年は「ユビキタス」の訳語的に使われて出番が多くなったため警戒の必要性が高まったとも言えそうです。
できることならどちらの語も使わないのが無難です。
特に「遍在」は特別な説明なしには使わない方がいいようです。