亜種は、「別の生物ではないが、異なる性質をもつ生物がいること」。
つまり、同じ生物であるが、生息する環境に適応するために異なる性質を獲得した生物がいることです。
近縁は、「ある生物と別の生物が、共通の遺伝子を持っているが異なる遺伝子も持っているため違う生物であること」。
つまり、別の生物であるが、共通する遺伝子を持っていることです。
両者の違いは、全く同じ遺伝子を持っているかいないかです。
「亜種」は、別の生物ではないが、異なる性質をもつ生物がいること
例えば、雨季の多い地域の山にカタツムリがいると仮定します。
山の標高が低い場合、カタツムリの天敵が多く、標高の高いところからの雨水の流れが強いです。
だから、殻は硬いです。
山の標高が高い場合、カタツムリの天敵が少なく、雨水の流れが強くないです。
だから、殻は柔らかいです。
この例のように、環境などの影響で同じ生物であるが、異なる性質を持つ生物がいることです
「近縁」は、共通の遺伝子を持っているが異なる遺伝子も持っているため違う生物であること
例えば、動物園にゴリラとオラウータンがいると仮定します。
ゴリラとオラウータンは霊長類で類人猿です。
しかし、両者の特徴は異なります。
前者は、他の類人猿よりも両腕(前足)が発達しています。
後者は、体毛が長く、腕が足よりも長く発達しています。
この例のように、共通する遺伝子を持っているが、異なる遺伝子も持っているため特徴が違います。
だから、両者は、違う生物であると言えます。
「亜種」と「近縁」の過去の決定方法
様々な生物の遺伝子解析は、科学の歴史から見ると比較的新しい技術です。
この技術がなかった時代は、主に生物の容姿や習慣から「亜種」と「近縁」を分けていました。
例えば、環境が似ている場所に生息し、同じ容姿で食べ物も同じであるとします。
しかし、容姿の色だけが違う生物が少数いるので、その生物の容姿の色が少ない方を「亜種」としていました。
また、体の構造は同じであるが、明らかに身体的な特徴や習慣の違う生物のことを「近縁」としていました。
現在の「亜種」と「近縁」決定方法
現在は、新種を発見するために捕獲した生物を遺伝子解析する過程で「亜種」と「近縁」を発見することが多いです。
時が流れるにつれて生物の多様性がより豊かになり、過去の決定方法では判別がほぼ不可能になったからです。
したがって、両者の違いは、遺伝子解析を行い、全く同じ遺伝子を持っているかいないかを確認することで分かります。