「なにがし」と「誰がし」と「それがし」は、具体的な名前を挙げないで、その人を指し示す言葉です。

英語では「so-and-so」で表されます。

☆so-and-so
名詞です。

「誰それ・なんとかさん・何々」「遠回しな表現で、あいつ・やつ・いやなやつ」という意味です。

英語の類語は「something」です。

☆「某彼某・それがしかれがし」
「だれかれ」という意味です。

宇治拾遺物語(14)に「庁にはまた何者か候と言へば、それがしかれがしと言ふ」とあります。

「なにがし」の意味

「なにがし」は、以下のような意味です。

①数量、特に金銭の額があまり多くないことを漠然と言い表す言葉です。

②不定称の人代名詞です。

具体的な名前を挙げないで、その人を指し示す言葉です。

また、名前のわからない時に、その人を指し示す言葉です。

以下のように使います。

これは小林なにがしの作品だ なにがしかの金を包んで渡した 君の留守に山田なにがしが訪ねてきた 何のなにがしと名乗る

「誰がし」の意味

「誰がし」は、具体的な名前を挙げないで、その人を指し示す言葉です。

「書類は部内の誰がしに預けたようだ」のように使います。

☆某の漢字
「それがし」「なにがし」と読む場合があります。

また、「誰がし」は「誰某」と書くことがあります。

字義は「人の名・日時・場所が明らかでない場合、または明らかにしない場合に用いる語」「自分を謙遜して言う言葉・わたくし・やつがれ」「梅の古字」です。

解字では、「甘(いわく・曰)+木」で構成されます。

「甘(曰)」の部分は「祈りの言葉」を表します。

これらから「子が授かるように祈る木」を表し「梅」を意味します。

借りて「それがし」も意味します。

「それがし」の意味

「それがし」

①名前のわからない人・物事を指し示すことです。

また、名前をあげずに示す言葉です。

   蜻蛉日記(下)に「なにがしなどいふ人」とあります。

②「わたくし」という意味です。

江戸時代に武士などが使った言葉です。

   宇治拾遺物語(4)に「それがし多くの丈六を作りて奉れり」とあります。

以下のように使います。

彼は何のそれがしと名乗った それがしにお任せください

「なにがし」は「某」、または「何某」と書く、「誰がし」は「誰某」と書く、「それがし」は「某」と書きます。

「誰それ」「誰誰・だれだれ」「なにがし」「誰がし」「それがし」「某・ぼう」「某氏・ぼうし」「何某・なにぼう」は、類語です。

共通する意味は「人の名前を知らない時や、ぼかしていう時に、その名前の代わりとして用いる語」です。

「なにがし」は、「なにがしかの金」のように不特定の数量をいう場合があります。

「なにがし」は「某」「何某」とも書きます。

「誰がし」は「誰某」、「それがし」は、「某」とも書きます。

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