出版業界でよく使われる「校正」と「校閲」の2つの言葉。

混同して捉えられやすい言葉ですが、校正は「元のデータが正しく反映されているかを確認すること」、校閲は「記されている事柄が事実に反していないか、論理的におかしくないかということを確認すること」を指しています。

2つの違いを覚えるためには、「漢字」に注目することが大事です。

校正の「正」には、「間違っていないこと、整えること」という意味が、校閲の閲には、「よく読んで調べる」という意味があります。

「校正」の意味

「校正」という言葉は、「元のデータが正しく反映されているか確認すること」を意味しています。

例えば出版業界であれば、校正用のゲラと呼ばれる、文字がレイアウトされた用紙と原稿をつき合わせて、誤りがないかを確認するときに「校正する」と言います。

この校正は、文字だけでなく、色の出方を確認する際にも使われ、その時には「色校正」などと言います。

逆に、デザインがメインの広告業界などでは、広告内の文字に誤りがないかを確認する際に、「文字校正」などという言い回しを用います。

「校閲」の意味

女優の石原さとみさんが主人公を務めてドラマ化された、『校閲ガール』(宮木あや子による小説シリーズ、KADOKAWA発行)。

この物語の設定として、主人公は「校閲」に関わっています。

「校閲」とは、「記されている事柄が事実に反していないか、論理的におかしくないかということを確認すること」を意味します。

「校正」とは異なり、事実照合や論理性まで確認をします。

特に大きな違いは、「校正」の場合は正しいデータが手元にあるのですが、「校閲」は正しいデータを自分で見つけるところから行わなければならない点があります。

知っておきたい「閲」の意味

「校正」と「校閲」ーー、この2つの違いをよりしっかり覚えるためには、漢字の意味を知っておくとよいでしょう。

特に、「校閲」に使われている「閲」の字には馴染みのない人がほとんどだと思います。

ここでは、二度と「校正」と「校閲」の言葉を混同してしまわないように、根本的な漢字の意味を押さえておきましょう。

「閲」は、訓読みで「けみする」と読みます。

これは、「よく調べること」「熟読すること」という意味を持っています。

この「けみする」と読む漢字、実はほかにもあります。

それは「検」です。

この漢字もセットで覚えると、なんとなく「よく調べる」というニュアンスを感じ取れるようになり、もう二度と混同しなくて済むはずです。

業界用語だけれど……

「校正」と「校閲」は、出版業界や広告業界など、限られた分野で頻繁に用いられ、それ以外の分野で活動されている方からしたら、違いの分かりにくい言葉です(もしかしたら、普段から使っている人の中でも間違えて使っている人もいるかもしれません)。

この2つの言葉はもはや「専門用語」化していますが、さまざまなメディアで耳にすることはあるでしょう。

自分が使わなくても、よく聞く言葉、これが1番意味を理解しないままになってしまいがちな状況です。

この記事をきっかけに、ほかの似ている言葉たちにもぜひ目を向けてみてください。

そこには、漢字の世界やその言葉を使う業界の世界、歴史など知らないだけで驚くような発見があるかもしれません。

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