「散る」は、物がばらばらの細かい破片となることです。
英語では「scatter」「fall」で表されます。
「桜の花が散ってしまった」は「The cherry blossoms are gone.」「The cherry blossoms have fallen.」です。
「散らばる」は、物が散り乱れるさまです。
英語では以下のように表されます。
「空き缶がそこら中に散らばっていた」は「Empty cans were scattered all over the place.」「The place was littered with empty cans.」です。
「会員も今では各地に散らばってしまった」は「The members are now scattered all over the country.」です。
「散らかる」は、物が乱雑に広がっていることです。
英語では「be scattered around」「be littered」「be in disorder」「be in a mess」で表されます。
「物が散らかっている」という意味の場合「be scattered around」を使います。
「ある場所が散らかっている」という意味の場合「be in disorder」「be in a mess」です。
「彼の部屋はいつも散らかっている」は「His room is always in a mess.」です。
「散る」の意味
「散る」は、以下のような意味です。
大意は、「一つのものとして秩序ある物がばらばらの細かい破片となる」という意味です。
①「離れ離れになって落ちる」という意味です。
断片となって方々に散ることです。
「散らばる」と同じ意味です。
万葉集(5)に「妹が見し楝(おうち)の花は散りぬべし」とあります。
源氏物語(藤裏葉)に「ありつる御手習どもの散りたるをご覧じつけて」とあります
②「散り散りに別れ去る」という意味です。
「離散する」と同じ意味です。
源氏物語(蓬生)に「みな次々にしたがひて行き散りぬ」とあります。
今昔物語(27)に「この渡る者どもさと散りて失せにけり」とあります。
③心がまとまらないことです。
落ち着かないことです。
源氏物語(若菜下)に「いろいろ目移ろひ心散りて限りこそ侍れ」とあります。
④世間に知れ渡ることです。
外へ漏れ聞こえることです。
源氏物語(梅枝)に「同じ法こそはいづくにも散りつつ広ごるべかめるを」とあります。
⑤酒が杯からこぼれることです。
妙竹林話七偏人に「此度は手酌でやろう。
ああ散ります散ります。」
とあります。
⑥にじみ広がることです。
また、あたりに広がり薄れて消えることです。
⑦人がいさぎよく死ぬことを比喩的に表します。
以下のように使います。
花火が散る 気が散る 全国に支部が散る 戦地で散った友
ガラスの破片が散る 花が散る 群衆は三々五々散っていった
「散らばる」の意味
「散らばる」は、以下のような意味です。
①物が散り乱れるさまです。
散り散りになることです。
「散乱する」「散在する」と同じ意味です。
物が一ケ所にまとまらず、あちこちに存在するさまです。
②一ケ所にまとまっていた人たちが、あちこちに散らばることです。
※「散らばる」と「散らかる」では、「散らかる」の方が顕著なマイナス評価を含みます。
以下のように使います。
卒業生が全国に散らばる 本が散らばる
人家が散らばる ガラスの破片が散らばる
全国に支部が散らばっている 従業員たちは仕事を探して散らばっていった
「散らかる」の意味
「散らかる」は、物が乱雑に広がっていることです。
「ちらばる」と同じ意味です。
以下のように使います。
部屋が散らかる ごみが散らかる 机の上が散らかる
足の踏み場もないほど散らかっている ガラスの破片が散らかる 本が散らかる
<関連語>
「散らかす」は「散らかるようにすること」です。
「おもちゃを散らかす」「部屋を散らかす」のように使います。
「散らす」は「散るようにすること」です。
「クモの子を散らす」「嵐が花を散らす」「注射で痛みを散らす」のように使います。
「散る」は 物がばらばらの細かい破片となること、「散らばる」 は物が散り乱れるさま、「散らかる」は、 物が乱雑に広がっていることです。
「散る」「散らばる」「散らかる」は、類語です。
「散らかす」「散らす」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「ばらばらになってあたりにひろがること」です。
「散る」は「花や葉が落ちたり離れたりする」という意味です。
「人が別れ別れに立ち去る」「気持ちが集中できなくなる」という意味もあります。
「散らばる」は、「あちこちに分かれてしまって広い範囲に存在する」という意味です。
また、「一ケ所にまとまっていたものがバラバラに広がる」という意味もあります。
「散らかる」は、「物があちこちに乱雑に広がる」という意味です。
「散らかる」は、「散らばる」に比べて、乱雑さへの不快感が伴います。