「寂しい」と「淋しい」には国語的な意味の違いはありません。
どちらも、「孤独を感じる様子」や「にぎやかではなく、何か物足りなさを感じる様子」を表します。
しかし、それぞれが持つニュアンスは少し違います。
「寂」は「音がなくひっそりとした様子」を表します。
「淋」は「孤独であること、何かが不足していること」表します。
「寂しい」が物音がせず、しんとしている様子を表すのに対して、「淋しい」は自分の身の回りにあるはずの人や物が欠乏していることに対する孤独感をあらわします。
「寂しい」のニュアンス
物音がせず、しんとしている様子を表します。
「寂」を用いた熟語として「静寂」や、「寂寥」があります。
どちらも物音がしないことを表します。
「さびしい」という言葉は、孤独感や物足りなさなどの内的感情も示すことが多いですが、「寂しい」はどちらかというと、感情よりも周囲の様子、状態を表す意味合いが強いようです。
「淋しい」のニュアンス
「淋しい」には何かが欠乏している様子を表す意味合いが強いです。
「ふところが淋しい」や「生活が淋しい」、「人けがなく淋しい」など、
音を表すというよりも、何かあるはずのものが欠けていて心が落ち着かない様子を示しています。
「寂しい」よりも、より情緒的な表現と言えます。
小説などでのセリフで「寂しい」と表現するよりも「淋しい」と表現すれば、より登場人物の切実さが伝わるのではないでしょうか。
「寂しい」と「淋しい」の使い分け
「寂しい」は周囲の様子や状態を表すのに適しています。
「淋しい」は内的感情、欠乏して満たされない気持ちを表すのに適しています。
例文から、それぞれが持つ特性やニュアンスを見てみましょう。
「寂しい」
・風に吹かれる木々や草が、寂しい音を立てていた。
・誰もいない車両は寂しげであった。
「淋しい」
・恋人と別れ、広くなった部屋で一人でいるのはあまりに淋しい。
・金もなく、仕事もなく、することもない。
あぁ、淋しい。
「寂しい」が客観的、「淋しい」が主観的、と覚えればそれぞれの使い分けが上手になり、文章の説得力もあがりそうですね。
「寂しい」と「淋しい」の違いと使い分けの方法
「寂しい」と「淋しい」
似ているようで少し違う。
どっちも同じなんじゃないか、と思っていませんか。
この2つの言葉には少しだけ違いがあるのです。
それぞれの使い分けを覚えれば、より説得力のある文章を書けるようになるでしょう。
情緒的でどこか美しい響きの言葉「さびしい」。
この言葉の意味を深く知ればそれぞれの違いが見えてくるはずです。