「殊に」は、「普通と違って」という意味です。
英語では「especially」「particularly」「above all」で表されます。
「これは殊に重要です」は「This is particularly important. 」です。
「特に」は、他と区別して取り扱うさまです。
英語では「specially」「especially」「particularly」で表されます。
「特別な目的・用途などのために」という意味の場合「specially」を使います。
「他のものと比べてとりわけ」という意味の場合「especially」「particularly」です。
「particularly」は、文頭では用いません。
「特にショパンが好きだ」は「Especially, I like Chopin. 」「I especially like Chopin. 」「I like Chopin in particularly. 」です。
「殊に」の意味
「殊に」は、以下のような意味です。
①「特に」「普通と違って」「とりわけ」「別して」「別段に」という意味です。
古今和歌集(秋)に「山里は秋こそことにわびしけれ」とあります。
②「その上に」「なお」という意味です。
狂言(盗人連歌)に「さてさて添ない、ことにお酌まで」とあります。
以下のように使います。
殊に優れている この地区は殊に緑が多い その寺は殊に中国と縁が深い 牡丹の盛りは殊に美しい
「特に」の意味
「特に」は、他と区別して取り扱うさまです。
「とりわけて」「別段に」と同じ意味です
以下のように使います。
今日は特に寒い 特にその点については問題にしていない 特に数学が嫌いだ 特にあなたを選んだ 特に牡丹が美しい
特にこの点に注目してください 音楽では特にロックに興味を持っている
☆particularly
副詞です。
「特に・とりわけ」「著しく・おおいに」という意味です。
「私はアメリカが好きだ、特にニューヨークが」は「I like America, New York particularly. 」です。
関連語
「なかんずく」は、「その中で」という意味です。
「就中」と書く場合があります。
文章語です。
「彼の作品、なかんずく後期のそれにはキリスト教の影響が色濃くみられる」のように使います。
☆特の漢字
字義は「おす・畜類のおす」「三歳、または四歳の獣」「一匹のいけにえ」「ひとり・ひとつ」「配偶者」「ぬきんでている・優れている」「ただ・わずか」です。
解字では、「?(牛)+寺」で構成されます。
「寺」の部分は「とどまる・居る」を表します。
これらは「おすの牛(が居る)」を表します。
また、「独り」に通じ「ひとり」を意味します。
「殊に」は 「普通と違って」という意味、 「特に」は 他と区別して取り扱うさまです。
「とりわけ」「別段」「殊に」「特に」は、類語です。
「なかんずく」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「普通一般なとは違った状態であることを表す語」です。
「殊に」「特に」「とりわけ」は、ある事柄の状態について「他とは非常に異なって」という意味です。
三語ともほぼ同じように使われます。
「殊に」は、状態について用いられ、意志的行為については用いません。
また、主観的判断を述べる場合にもあまり用いられません。
「特に」は、状態についてだけでなく、意志的行為について用いられるので、話者の主観を述べる場合にも用いられます。