財産保全は「自分の所有物であっても勝手に処分できないこと」。
「処分制限」と言い換えると分かりやすい。
差押は「税金滞納の見返りに所有財産を没収すること」。
「見返り没収」と言い換えると分かりやすい。
没収は「債務の見返りに所有財産を差し押さえること」。
「見返り差押」と言い換えると分かりやすい。
どの場合も自分の所有財産であっても勝手には処分や使用が出来なくなることを言います。
「財産保全」は所有物処分に制約を掛けること
「財産保全」は債務の不履行が起きる場合、所有者が勝手に財産を処分することを避けるために様々な制約を設定できることを言います。
連帯保証など人的な抵当権の設定、仮差押、質権、抵当権の担保設定などがあり、所有者の判断で財産処分が出来なくなる制度です。
必要が生じた場合は、財産の所有権の移転登記が可能となります。
「差押」は債務の滞納の場合に行われるもの
「差押」は税金などの債務の滞納が有った場合、再三の督促にも応じないと判断されると、強制的に予告なく相手の財産の没収が出来る制度です。
没収された財産は換金され債務の弁済に宛てられます。
「差押」後に全額の債務の返済が行われれば没収した財産は返却されます。
また、一定の生活に必要なものは「差押禁止」となります。
「没収」は犯罪に関わった物件の所有権を剥奪すること
「没収」は犯罪立件に必要な物件の所有権を剥奪することです。
犯罪に不可欠なもの、犯罪に使用したもの、犯罪により生み出されたもの、犯罪により犯人が得たもの、犯罪の報酬となったものなどが該当します。
なお、警察が「押収」として持っていくものは証拠となり得るもので所有権は移転しません。
「没収品」は国の所有となります。
「財産保全」と「差押」と「没収」とは
これらの言葉は自分が所有していたものを勝手に処分できなくなることです。
どれも強制力があり、原因となるものが解消されない限り執行されてしまいます。
「財産保全」は財産を所有していても処分に制約が掛かること、「差押」は債務不履行の代わりに所有物を持っていかれること、「没収」は犯罪に関わるものの所有権が無くなることを意味します。