一縷は「撚られていない一筋の糸のこと。」

「わずか」と言い換えると分かりやすい。

一抹は「筆のひとなすりのこと」。

「ほんの少し」と言い換えると分かりやすい。

「一縷」と「一抹」はどちらも「ほんのわずか、微量」と言う意味ですが、使い方がほぼ決まっている言葉です。

「一縷の望み」と「一抹の不安」と使います。

反対に「一抹の望み」「一縷の不安」とは言いません。

「一縷」は一本の繊維、糸のこと

「一縷」は一本の糸のことを言い、「縷」には「糸、ぼろ、こまかい」などの意味があります。

「一縷の望み、一縷の希望」と使い、「わずかな望みがあること、諦めてはいけないこと」などの意味になります。

「絶望的な状況で行方不明になった人にも一縷の希望はある」「一縷の望みがあるのだから、諦めることはしないで欲しい」などと使います。

「一抹」は筆のひとこすりのこと

「一抹」は「筆でひとこすりした程度の量、わずかな量、少ないこと」などの意味になります。

「一抹の不安」と使い、「わずかな心配ごと、不安材料、弱点」などのことを言います。

「ここまで順調に進んできたが、一抹の不安材料が心に引っ掛かっている」「一抹の不安が命取りになった例は、結構多いことだ」などと使います。

「一縷」と「一抹」を取り違える誤り

「一縷」と「一抹」はどちらも「わずかなこと」を意味しているために、取り違えの間違いが起きます。

「一縷の不安」「一抹の希望」と使ってしまうのです。

意味としては全くの間違いとは言えませんが、慣用句としては間違いになります。

「一縷」はわずか一本でも繋がっていると言うことから「希望、望み」に使われています。

一方の「一抹」は余り良い印象の言葉ではないのです。

「一縷」と「一抹」とは

「一縷」は一本の糸のことを言い、微かな糸でも繋がっていることから良いイメージに使われます。

「一縷の望み」と使い、絶望とは異なり諦めないことと言う考えになります。

「一抹」は筆のひとこすりと言う意味ですから、少しでも墨が付いてしまうことを意味しているため悪いイメージが伴います。

「一抹の不安」と使われ、時として「命取り」に発展する可能性を秘めた言葉です。

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