これらの言葉によって指し示される時間が異なり、限定されています。
元旦は、1月1日の朝です。
元日は、1月1日の一日を表しています。
古代には、日暮れから翌日と考えられていたので、12月31日の日没から元日だったことになります。
仏教が伝来し、12月31日の深夜、寺院で除夜の鐘が突かれるようになると、鐘の音が終った時から元日と考えられるようになりました。
そこで、真夜中から初詣をするようになったのです。
正月とは、年の初めの月です。
陰暦の「睦月」のことです。
「元日」の意味
年の初めの日。
正月の第一日。
1月1日。
一年の最初の日。
国民の祝日で、1948年に制定されました。
この日、宮中では、「四方拝」などの儀式が行われます。
民間では、「若水くみ」や「初詣」などの正月の行事を行います。
俳諧では、「元日」は「冬」を表します。
一方、陰暦の「睦月・むつき・1月」は「春」とされます。
「元旦」の意味
「元旦」は、元日の朝のことです。
「元朝・がんちょう」ともいいます。
「元旦」は、「歳旦・さいたん」ともいいます。
それらは同じ時間のことを述べていますが、ニュアンスがやや異なります。
そのため、和歌や俳句では使い分けて表現しています。
俳句では、冬の季語です。
「元旦やいつもの道を母の家」星野立子
「元朝の氷すてたり手水鉢」高浜虚子
「正月」の意味
一年の最初の月です。
「一月・睦月」のことです。
「正月」とは、「喜ばしく楽しい気分」を意味します。
例えば、「いつまでも正月気分が抜けない。
」「目の正月」のように使われます。
江戸時代の文献には、「正月」が「正月買い」の略として多く登場します。
「正月買い」は「遊女買い」の意味です。
世間胸算用にも「正月」が「遊女買い」の意味として記されています。
陰暦では、元旦を中心とした正月を「大正月」、または、「大年」と表しまた。
一方、1月15日を中心にした正月を「小正月」と呼びました。
これは、旧暦では15日は必ず満月になりましたが、そのため、1月15日を年の境と考える風習があったからだと考えられます。
まとめ・初詣と元旦・元日・正月
初詣は、新年になって初めて社寺に参詣することです。
通常は、元旦、もしくは元日、もしくは正月の期間に行われます。
古くは、日没を一日の境としたために、大みそかの夕刻から一家の主が氏神の社に籠もったり、社前で火を焚いて夜明かししました。
その後、元旦(朝)になって参詣がおこなわれました。
時代が下って、仏教の除夜の鐘を聴き新年を迎える風習になると、今日のように、真夜中から初詣をするようになりました。
時間の概念の変化が、「元旦」「元日」「正月」という言葉には表れています。
帝の初詣は、四方拝です。
今日まで続く宮中の儀式です。
古代には、元日の寅の刻(午前4時頃)、天皇が清涼殿の東庭に出御し、四方や山稜を拝し、天災を払い、皇位の長久を祈りました。
この儀式の記録は、宇多天皇(平安時代)のものがあります。
この儀式は、今日、元日の午前5時半、今上天皇が神嘉殿の南座で行います。