「超絶」は、他より飛びぬけて優れていることです。
英語では「superlative」「transcendent」で表されます。
「文学史上超絶した作品」「a masterpiece in the history of literature」です。
「リストの超絶技巧練習曲集」は「List’s Etudes d’ execution transcendent」です。
「不世出」は、めったに世に現れないほど優れていることです。
英語では「unparalleled」「extraordinary」で表されます。
「不世出の音楽家」は「an unparalleled musician」です。
「不世出の大政治家」は「a great stateman of unequaled ability」「です。
「不世出の天才」は「an extraordinary genius」「a prodigy」です。
「超絶」の意味
「超絶」は、以下のような意味です。
①他より飛びぬけて優れていることです。
②哲学では、「超越」と同じ意味です。
他とは無関係に高い次元にあることです。
カントの用語です。
あらゆる可能な経験を越える形而上学的対象、およびそれに関する認識を超越的と呼びます。
超越論(超絶論)的とは区別しました。
以下のように使います。
超絶技巧 世俗を超絶する
超絶した力量を見せる
<形而上>
哲学では、時間・空間の中に形を持つ感覚的現象として存在することなく、それ自身超経験的な理性的思惟によってとらえられる存在のことです。
感覚を通してはその存在を知ることができないもの、形を持たない抽象的・観念的なものをいいます。
「不世出」の意味
「不世出」は、めったに世に現れないほど優れていることです。
極めてまれにしか世に現れないほど優れていることです。
以下のように使います。
不世出のバレリーナ 不世出の天才
不世出の実業家 不世出の名優
<助字の不>
「不世出」の「不」は、助字で助詞として使われています。
字義は「ず・ざれば」「しからず」「しかせず・そうせず」です。
解字では象形です。
花のめしべの子房の形にかたどって「はなぶさ」を表します。
借りて、否定の助詞に用いられます。
「助字・助辞」
漢文法で用いる語です。
漢文の漢字は「実字」「虚字」「助字」に三分されます。
助字は、文法上の意味や関係を示す助詞(也・哉)・接続詞(前・則)・前置詞(於・于)などを指します。
<超・絶・世の漢字>
「超」
字義は「おどりあがる」「こえる」「とおい」です。
解字では、「走+召」で構成されます。
「召」の部分は「跳」に通じ、「飛び上がる」を表します。
「走」を付して、「飛び越える」を意味します。
「絶」
字義は「たつ」「たえる」「かけはなれる」「わたる」「けわしい」「たえて」「絶句の略」です。
解字では、「糸+刀+巴」で構成されます。
「巴」の部分は「人が膝を折る形」にかたどります。
「糸+刀」の部分は「刃物で糸を切る」を表します。
これらから「中断する・たつ」を意味します。
「世」
字義は「よ・もともとは三十年のこと」「よよ・代々」「代々続く」「仏教では、過去・現在・未来」です。
解字では会意です。
もとは、「十を三つ合わせて三十年」を表し、「長い時の流れ」を意味します。
転じて、「世の中」を意味します。
<六書と会意>
「六書」は、「象形」「指事」「会意」「形声」「転注」「仮借・かしゅ」のことです。
これらは、漢字の字形の構成及び用法に関する六種類の原則です。
「会意」は、六書の一つです。
いくつかの漢字絵を組み合わせて字義を導き出す方法のことです。
「超絶」は 他より飛びぬけて優れていること、「不世出」は めったに世に現れないほど優れていることです。
「超絶」「不世出」は、類語です。
共通する意味は「他にないほど優れて立派なこと」です。
「超絶」は、ひときわ抜きんでて優れていることです。
「不世出」は、めったにこの世に現れないほど優れていることです。
<超絶論>
「超絶論」「超絶主義」は「超越主義」と同じ意味です。
①カントやフィヒテ・シェリングの先駆的哲学をいいます。
「先駆主義」のことです。
②19世紀前半にアメリカでエマーソンを中心に起こった哲学・宗教運動のことです。
有限な存在のうちに神秘的なものの内在を認める神秘主義的汎神論のような立場をとり、倫理的には理想主義・個人主義とり、社会の改良に熱意を示しました。