日本語の使い方には難しいところが少なくありません。
普段、言葉にする時は発音が同じなために気が付かなくても、文字にすると誤用が明らかになります。
その一つが「ください」と「下さい」です。
ひらがなと漢字で表記する場合では、意味が変わってきます。
意味が異なるのはひらがなの「ください」は「補助動詞」で、漢字の「下さい」が「動詞」だからです。
「ください」とは
ひらがなで「ください」と表記する場合は、「補助動詞」になります。
顧客に対して『10時までにお越しください』と言う時など、相手にお願いをする場合や敬意を表す時に「ください」を使います。
この場合に、『お越し下さい』とは書きません。
分かりやすく言うと、ひらがなの「ください」は英語では「please(プリーズ)」になります。
『どうぞ~してください』というように使います。
「下さい」とは
漢字で「下さい」と表記する場合は、「動詞」として使います。
『コーヒーを下さい』や『1,000円だけ下さい』のように、何かを『くれ』と頼む場合に、「くれ」の丁寧語の「下さい」を使います。
つまり、漢字の「下さい」は、何かを欲しい時に使います。
英語で表現すると、「give(ギブ)」になります。
「私に与えて欲しい」という使い方が正しい「下さい」です。
「ください」と「下さい」の使い方の例
相手に何かをして欲しい時は、ひらがなの「ください」を使い、相手から何かを貰いたい時は、漢字の「下さい」になります。
ひらがなの「ください」は相手に敬意を払う言葉であるため、ビジネス社会でよく使われます。
例えば、『記念パーティにお出でください』や『カタログをご覧ください』などと使います。
一方、「下さい」は飲食店や買い物などで、『水を下さい』などと使います。
丁寧語・尊敬語・謙譲語の違い
ビジネスの場面で、漢字の「下さい」はあまり使われません。
それは、「下さい」という言葉が「くれ」という言葉の丁寧語だからです。
ビジネスの場合、相手の人が上司や顧客など目上のことが多くなります。
その場合は丁寧語ではなく、尊敬語や謙譲語を使うことになります。
例えば、相手が同僚や部下であれば『領収書を下さい』と言えますが、上司や顧客に対しては「領収書をいただけますか」となります。