挽回は「元の状態に戻すこと。」
「戻す」と言い換えると分かりやすい。
返上は「都合の悪いことを返すこと」。
「返す」と言い換えると分かりやすい。
この二つの言葉は意味が全く異なりますが、「汚名挽回」と「汚名返上」と言うことわざで勘違いを起こしているものになります。
「汚名挽回」では意味が通らないのに使われていることがあります。
「挽回」は元に戻すこと
「挽回」の「挽」は「引き戻す」と言う意味があります。
従って、「挽回」は「元の状態に引き戻す、原状回復」と言う意味になります。
「名誉挽回」と言う言葉もあり、一度失われた名誉が元に戻されることを言います。
「汚名挽回」は間違えてよく使われる言葉ですが、「汚名を元に戻す」では正しい意味になりません。
正しくは「汚名返上」と使います。
「返上」は突き返すこと
「返上」は都合の悪いことを突き返すことです。
「汚名」のようなものを突き返すことを「汚名返上」と言い、「汚名挽回」などとは言いません。
言うなら「汚名を返上して、名誉を挽回する」と使うべきなのです。
一般的には「返上」は「休日返上=休日を会社にお返しして、仕事をする」など「返す」を丁寧に言う意味で使います。
「汚名挽回」が当たり前に使われる
「汚名は返上するもの」なのに「汚名挽回」と言う言葉が一般化してしまいました。
これは言葉の意味を縮めて言う習慣からと思われます。
「汚名は返上して、元の状態に挽回すること」と言う意味は分かっているので、縮めてしまったものと考えられます。
このような日本語の例は他にもありそうです。
「天地無用」も「この荷物は壊れやすいので天地を逆さにすることは無用に願います」を縮めていると考えられます。
「挽回」と「返上」とは
「挽回」は「元の状態に引き戻すこと」を言います。
「返上」は「都合の悪いことを突き返すこと」です。
この二つの意味は全く異なるにも関わらず、間違えて使われていることがあります。
「汚名挽回」が間違いで「汚名返上」が正しい使い方になりますが、「汚名挽回」が世の中に浸透しているのです。
当然、意味は「汚名を返上して、名誉を挽回すること」と分かっていて、言葉を縮めているものと思われます。