「聞く」は自然に耳に入る音を受け止める行為です。

「聴く」は、耳を傾けて注意深く音を受け止め意味を確認する行為です。

「きく」という大和言葉は、本来、注意深く五感をとぎ澄ます行為を指したと云われています。

そのため、目・口・鼻・舌を使って注意深く行った行為にも「きく」という表現を使います。

例えば「目利き」や「塩を利かす」や「香をきく」などです。

その中でも、耳を使う行為はとくに注意深く機能を働かせる必要があると考えられました。

そのため、通常の行為であっても「きく」と発音ようになったのです。

「聞く」は、「自然に耳に入る音を承る」「聞いて理解する」という意味です

「聞く」は自然な音が耳に入るという意味と、「質問して、そして聞く」という意味があります。

論語に、「夫子至於是邦也、必聞其政」という節があります。

意味は「先生はこの国にいらっしゃると必ず政治の相談を受けた」というものです。

「聞く」という漢字は、「門」の部首があります。

「門」の部分は問うを意味します。

つまり、「尋ねて聞く」という意味を表しています。

つまり、「質問をする。

そしてその回答を聞く」という意味が含まれているのです。

「聴く」は、「耳を傾け注意深く聴く」という意味です

「聴く」は、「耳を傾ける」「注意深く聴く」という意味とですが、「盗聴」や「清聴」からも解るように、「人の耳となって事を探し回る」という意味が含まれています。

「聴く」は、「徳」の文字の右側と同じ部首が含まれています。

これは、「ますぐな心」を意味します。

また、「聴く」の「壬」の部分は、「突き出す」を意味しています。

これらから、「聴く」は、「耳を突き出し、まっすぐな心で聞く」という意味です。

検察官や警官が「きく」のは「聞く」か「聴く」か?

「聞く」は、広く一般的に使われます。

情報を聞くのが通常の使用例です。

また、「聞く」には、「質問して聞く」という意味が含まれます。

例として、「聞くは一時の恥。

聞かぬは末代の恥」などがあります。

しかし、同じ質問でも問いただす場合は、「聞く」ではなく「聴く」を使わなくてはなりません。

訊問を「きく」のは、「聴く」です。

警察では「事情聴取」をします。

警官が問いただすから「聴く」を使うのでしょう。

「問いただす」とは、真実のことを言わせようと追求することです。

追及に対する答えを「きく」のは、「聴く」でなければなりません。

「利く」と「効く」も「聞く」と同じ発生です

「利く」と「効く」は、「聞く」と語の発生は同じです。

これらの言葉は、「注意深く物事を観察し、対応することが要求される」という意味を含みます。

「利く」は、機能や制御が良く働くことです。

「効く」は、効果や成果が表れている状態です。

古代、本来こういった言葉は、すべて「きく」と表現されました。

漢字が入ってきて、場面に応じた漢字が当てられるようになったのでしょう。

日本語が、大和言葉と漢字の複層的構造によって成立していることが良く表れています。

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