無・ムは「無の呉音のこと」。
「無理」と言い換えると分かりやすい。
無・ブは「無の漢音のこと」。
「無事」と言い換えると分かりやすい。
「無」と言う漢字の音は現代でもなぜか呉音が多くなっています。
漢音の「無・ブ」と使うものは「無頼、無難、無聊、無調法、多勢無勢、無粋、無作法、無礼、無愛想、無骨、ご無沙汰」などがありますが呉音に比較して少なくなります。
「無・ム」は呉音
「無・ム」は呉音ですが現代でも多くの言葉が存在しています。
「無」と言う概念が仏教にあることが影響しているのかも知れません。
呉音は歴史上仏教に関係がある音と言われます。
中国からの仏教は百済経由で伝来していますが、百済は中国の影響を受けていたため呉音を使用していたと言われています。
「無理矢理、無視、感無量、無駄」など現代でも多くの言葉が使われています。
「無・ブ」は漢音
漢音「無・ブ」と使うものは「無頼の輩、その方が無難、無聊を託つ、無調法、多勢に無勢、無粋な行い、無作法極まりない、無礼千万、無愛想この上ない、無骨者、ご無沙汰しています、無様な姿、無事に終わる」などがあります。
また、「無器用、無調法、無粋、無愛想、無作法」などの言葉は「無」より否定の「不」を使うことが多いようです。
「無」の訓読みと仏教用語とは
「無」の訓読みは「ない」です。
「無い袖は振れない」「名無しの権兵衛」「無くて七癖」、特殊な読みで「無花果(いちじく)」などがあります。
また、仏教関係の言葉では「無量寿」「無間地獄」「無色、無限、無眼、無明」、「有耶無耶、無学、無我、無意識、無分別、無一文、無所得、無住、南無阿弥陀仏、南無妙法蓮華経」などがあります。
「無・ム」と「無・ブ」とは
「無・ム」は呉音の発音で、日本に最も早く伝わった中国漢字の発音のことです。
呉音は中国から朝鮮の百済経由で伝来した仏教と共に伝わったものと言われています。
ですから仏教関係の言葉が多く現代にも残っています。
後に呉音は漢音に取って替わられた経緯がありますが、仏教界の抵抗が有ったとされています。
そのため現代でも「無」は呉音「ム」が主流で漢音の「ブ」は比較的少なくなっています。