「ねだる」は、「相手の好意や愛情に甘え、、物(金品など)を要求する」という意味です。
そうした甘えの感情が成立するような親密な関係でないと、「ねだる」は実行できません。
「せがむ」は、「目上の親しい人に何かをしてもらったり、何かをくれるように要求したりする」という意味です。
「せがむ」は「ねだる」と同様に、相手との親密な関係が必要です。
「ねだる」という言葉の対象は、物(金品など)に限られますが、「せがむ」は限定されません。
「せがむ」は、行為を要求する場合でも用います。
「外に出してとせがんだ」という使い方はできますが、「外に出してとねだった」は、不自然な使い方です。
「せびる」は、「相手とのかかわりあいをいいことに、金品を無理に要求して手に入れる」という意味です。
相手との関係は、親密である必要はなく、些細な関わりでも「せびる」ことは実行できます。
「せびる」は、「必ず手に入れること」を期待して用いられる言葉なので、「小遣いをせびったが、手に入らなかった」という言い方は不自然です。
一方、「ねだる」「せがむ」は、「要求する」という意味に焦点が当たっているので、「小遣いをねだった(せがんだ)が、くれなかった」という使い方ができます。
「ねだる」の意味
「ねだる」は、通常、「甘えたり無理を言ったりして、欲しいものを請い求める」「無理な要求をする」という意味です。
「あざむきだます」「いつわりをいいかける」という意味も含みます。
「スターにサインをねだった」「父にねだって動物園に連れて行ってもらった」「おもちゃをねだった」
「褒美に時計をねだった」「夫に洋服をねだった」「酒手をねだる」「『おとぎ話をして』とねだる」のように使われます。
「せがむ」の意味
「せがむ」は、一般的には「しつこく頼む」「ねだる」という意味です。
「責め叱る」という意味もあります。
「妻にせがまれて芝居を見に行く」「おとぎ話をせがむ」「子供にせがまれて遊園地に来た」「小遣いをせがむ」
「父に車を買ってくれとせがむ」「お金をせがんだ」のように使われます。
「せがむ」は、「ねだる」と似た意味ですが、「せがむ」は、自分の要求無理に通そうとする意図が強く、「ねだる」は相手の好意に甘えようとする意図が強い場合に用います。
「せびる」の意味
「せびる」は、「金品をもらおうとしてしつこく頼むこと」「無理にねだる」という意味です。
他に、「しいて頼む」「無理にねだる」「せがむ」「せぶる」という意味も含みます。
「母親に金をせびっていた」「小遣いをせびる」「総会屋が寄付をせびる」「酒手をせびる」のように使います。
「せびる」の類語には、「ねだる」「せがむ」があります。
共通の意味は、「相手との関係を利用して強く要求する」です。
まとめ・太鼓持ち(幇間)の「おねだり」
太鼓持ちの「おねだり」といえば、上方落語の『愛宕山』(あたごやま)を思い出します。
ある春の日、京都の旦那が芸妓や舞妓を連れて愛宕山にピクニックへ行くことにしました。
荷物持ちに大阪出身の「太鼓持ち・一八」もついてきて、「おべんちゃら・お世辞」を言っては、お小遣いをおねだりします。
山頂での「かわらけ投げ」とき、旦那が豪気に小判を「かわらけ」代わりに谷に撒きます。
拾ってきたら全部お前のものだと云われ、欲と道づれの一八は、番傘で谷底に飛び降り小判を拾い集めます。
しかし、谷底から山頂に戻る道がない。
さあどうする一八。
続きは落語でどうぞ・・・。