これら3つの現象は、水蒸気が地上、または、水面上を覆ったもので、雨のように降ってくることはありません。
気象学的には、1km以遠の視界を遮っている場合を「霧」、1km以上見通せるものを「靄」と言います。
「霞」は気象用語ではありません。
文学に於いて、春立ち込める物を「霞」、秋に立ち込める物を「霧」と言います。
3つの表現の内、「霧」が最も一般的にこの気象現象を表すのに用います。
3つの言葉とも、「~がかかる」「~がたちこめる」のように使います。
「霞」だけは「霞がたなびく」のように使い、より文学的な表現となります
「霧」の意味
地面近くに発生する雲と云えます。
微量な水滴・結晶からできています。
①地面や海面に接した気層中で水蒸気が凝結し、無数の微小な水滴となって大気中を浮遊するものです。
古くは、霞と霧は混同して扱われていましたが、平安期以降、春立つものは霞、秋立つのは霧と呼び分けています。
②気象観測では、水平視程が、1km未満のものをいいます。
1km以上の場合は靄です。
③人のはく息のこと
万葉集(15)「嘆きの霧にあかましものを」
④「細かな水滴を空中に散るように飛ばしたもの」「液体を噴出させて霧のようにしたもの」です。
「霧がかかる」「朝霧」「深い霧」「霧が深くなった」「霧が晴れた」「白い霧包まれた」のように使われます。
「霧」の類語には、「雲」「霞」「靄」「ガス」「スモッグ」などがあります。
共通する意味は、「細かい水滴やチリが空気中に漂っている現象」です。
「靄」の意味
無数の微小な水滴が大気中に浮遊し、遠方がかすんで見える現象です。
水滴の粒は、霧粒より小さいものです。
気象学的には、水平視程1km以上のものをいいます。
霧は乳白色に見え、靄は青みがかって見えます。
靄が発生する時の湿度は霧の場合よりも低いとされます。
「靄が立ち込める」「山頂には靄がかかった」「町は靄で包まれた」のように使われます。
「霞」の意味
①微細な水滴が空気中に浮遊するため、ぼんやりとして遠方がはっきりと見えない現象です。
古くは、「霞」と「霧」は混同して扱われていましたが、平安期以降、春立つものは「霞」、秋立つのは「霧」と呼び分けています。
古今和歌集(春)「花の色は霞に込めて見えずとも香をだにぬすめ春の山風」
②微細な水滴が日光を受けて「朝焼け」や「夕焼け」のようにに空が赤く見えることです。
倭名類聚鈔(1)「霞 加須美 赤気雲也」
③物がはっきり見えなくなることを言います。
④色紙や短冊の上の部分を藍などで薄くぼかしたもののことです。
⑤酒や酢などを熱する時の湯気のことです。
酒の異称の場合もあります。
⑥「霞割・縄張りの地」の略です
⑦「霞網」の略です
まとめ・霞が関
東京都千代田区の一地区を指します。
桜田門から虎ノ門にかけての一帯です。
「霞が関」は地名だけでなく、官公庁を表します。
特に外務書を指す場合があります。
明治以降、この地域に中央官庁が集中し、日本行政の中枢となりました。
古くは、武蔵野で沼地だったところは「霞」という地名で呼ばれました。
沼地に霞がかかることが多かったからでしょう。
「霞が関」のあたりには、かつて奥州古街道が通っていました。
その街道に「霞が関」と云われる関所があたあことからこの名前が付いたと云われます。