海苔と糊は、古くから日本人の暮らしの中に根ざしている文化の一つであり、日常生活を送る上で絶対に欠かせない存在です。
しかしかたや海藻を紙上に長く伸ばして濾して干して作られたもの、かたや様々な製法がありますが、日本で一番ポピュラーな米糊は米や麦をすり潰したり煮込んだりして精製されるもので、同じ呼び名で呼ばれはするものの、共通点が全く見受けられません。
一体どういう経緯で似た名前で呼ばれるようになったのでしょうか。
海苔について
緑藻・紅藻・そしてシアノバクテリアとも呼ばれる藍藻を含む食用とされる海藻類の総称が海苔です。
その登場は縄文時代と早く、奈良時代には文学にまで記載されるほどです。
かつては冬の時期にしか採れない、大変高級かつ貴重な食材という扱いで、海苔を口にできるのは身分の高い人のみでしたが、江戸時代に養殖技術が確立されてからは、庶民も海苔を食べれるようになりました。
糊について
糊とは一般に紙や写真を貼ったり、手紙に封をする際に使われる物の事を差します。
今でこそスティック糊やテープ糊など、様々な種類の糊を文房具屋などで見かけますが、やはりポピュラーかつ、日本人に一番馴染みが深いのはデンプン系接着剤でしょう。
稲作文化が大昔からあった日本では、早い段階から米を接着剤として使用してきました。
糊という漢字に米が入っているのはその為です。
海苔と糊の名前の由来について
糊が「のり」と呼ばれるようになったのは、大昔に粥の事を「ねまり(練まり)」と読んでいた事が由来で、それが訛って「のり」となったようです。
一方海苔は江戸時代後期に入るまで、海苔は今のような四角くてペラペラした紙のような外見ではなく、ヌラヌラとした海藻そのものの姿で食卓に並んでいました。
紙上になったのは、江戸時代に入ってからです。
「ヌラヌラしている」の「ヌラ」が訛って「ノリ」になり「海苔」の漢字を当てられて「海苔(ノリ)」と呼ばれるようになりました。
海苔と糊の名前の由来まとめ
上記の通り「海苔」は「ヌラヌラしている」から「ノリ」と呼ばれるようになり、「糊」は「ねまり(練まり)」が転じて「ノリ」と呼ばれるようになりました。
しかし、「糊のようにねばねばと岩や木にくっついて離れない」から「ノリ」と呼ばれるようになったという説もあるようです。
海苔か糊のどちらが先に日本人の食卓に登場したのかは定かではないですが、「ねばねばしている」という共通点から似た呼び名で呼ばれるようになったのかもしれないと考えると、少し面白いかも知れませんね。