HIV感染=エイズではありません。
HIVに感染するとインフルエンザのような症状が出ますが、その後は数年から十数年間は特に症状が何もありません。
この症状のない時期を無症候キャリア期と言います。
無症候キャリア期を過ぎると下痢や発熱や体重減少などの症状が出てきて、この時期をAIDS関連症候群期と呼んでいます。
AIDS関連症候群期を過ぎると、健康人なら感染しないような些細なウイルスや細菌に感染してしまう日和見感染を起こしたり、悪性腫瘍などの合併症が見られるAIDS期に突入します。
AIDS期のことを、俗にAIDS(エイズ)と呼んでいます。
「HIV」の意味
HIVは、human immunodeficiency virusの頭文字を取ってHIVとなっています。
日本語に訳すと、ヒト免疫不全ウイルスです。
同性または異性間との性的接触後、数週間後に一過性のインフルエンザのような症状が出て、血液中の抗HIV抗体が陽性になります。
しかし、その後の数年間から十数年間は、特にこれと言った症状はありません。
そのため、HIVに感染していることに気が付かずに不特定多数の人と性的交渉を持つと、HIV感染を蔓延させることになってしまいます。
性交渉を持つようになったら、定期的に検査を受けるようにしましょう。
保健所では、無料で匿名で検査を受けることができます。
検査目的での献血は、やめてください。
献血された血液は、HIVに汚染されていないかを厳密に検査しますが、結果は本人には通知しません。
ウインドウ期といって、感染後1ヶ月ほどの間は極まれに検査をすり抜けてしまう時期があるので、検査目的での献血を防ぐためにHIVの結果は本人に通知しないことになっています。
「AIDS」の意味
AIDSはaquired immunodeficiency diseaseから来ています。
日本語にすると、後天性免疫不全症候群です。
HIVに感染すると、インフルエンザのような症状が出る急性期、その後の数年から十数年は特に症状のない無症候キャリア期、発熱や体重減少や下痢などの体調不良が現れるAIDS関連症候群期、悪性腫瘍や日和見感染などの合併症が起きるAIDS期と進行します。
AIDS期の状態が、AIDS(エイズ)であって、HIV感染=AIDS(エイズ)ではありません。
AIDSの原因ウイルスが、HIVです。
AIDSになる前に、早期にも見つけることが重要
HIVに感染するとインフルエンザのような症状が出ますが、その後は元気になるため、気が付かないことも少なくありません。
このように、特に症状が何もない時期が十年前後続くのがHIV感染の特徴です。
この時期に、不特定多数の人と無防備に性交渉を持つとHIV感染を蔓延化させることになります。
かっては死に至る病だったHIV感染症も、現在では元気になって退院できる病気に変わって来ています。
現在は、合併症が起きる時期も予測可能となってきました。
抗ウイルス薬の登場で、合併症が起きる前に手を打つこともできるようになり、HIVに感染してもきちんと治療を受ければ健康人と同様に生活することが可能です。
性交渉を持つようになったら、定期的にHIVの検査を受けることが重要です。
HIV感染=AIDSではありません
日本で初めてAIDS患者が発見されたのは、1985年でした。
2016年の新規HIV感染者は1011件、新規AIDS(エイズ)患者は437件です。
HIVは感染者の血液や体液が、自分の体内に入った時に感染リスクがあります。
空気感染や握手では感染しません。
HIVの感染を防ぐためには、性行為の最初から最後までコンドームを根元までしっかりと装着することが重要です。
オーラルセックスやアナルセックスの場合も、コンドームの装着が必要となります。
また、カミソリや歯ブラシなどの血液が付いている可能性のあるものの共有は、やめましょう。
HIVに感染して、無症候キャリア期やAIDS関連症候群期を経て、カポジ肉腫という悪性腫瘍やニューモシスチス肺炎や等の合併症が出てきた時期がAIDS期で、AIDS(エイズ)と呼んでいます。
HIVに感染しても早期に適切な治療を受ければ、AIDS期までには至らずに元気になる人もいます。